2024/12/05 06:20 |
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2013/02/04 11:23 |
フルレンジの原点 P610 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
いやはや暑くなりましたね。
夏本番到来を感じさせるようになりました。
さて前回のブログでは、こんな暑さによって影響を受けやすい、アナログプレーヤーの針圧調整についてお話をしました。
とはいいましても、暑いから必ずしも針圧調整が必要かと聞かれれば、トーンアームやカートリッジ次第では、針圧調整が必ずしも必要でないものだってあります。
一方ほんのわずかな気温差に敏感で、常に微調整が要求されるものだってあります。
だからこれは実際に必要な場合にのみ調整をされればいい事です。
でも基本的な適正針圧を中心に、極端な使い方をしないようしなければならないのは当たり前の事ですけどね。
さてそんな針圧調整ですが、お使いのシステムによっては、音としてその違いを聞き取るのが困難なシステムというのもあります。
たとえば独自の音質的なキャラクターで音楽を奏でる装置の場合、そのような入力信号の差に敏感に反応しにくいシステムもありますので、針圧による音の違いを聞き取りにくい場合もあります。
またオーディオは一種の芸術的要素を持つため、感性的にそのような違いをあまり気にならない方もいるわけですので、それが何かに気がつかないレベルであれば、特別神経質になる必要もありません。
という事で、この針圧による音の違い、あるいは新しく手に入れたケーブルの音の違いなど、そのような微細な音の違いをテストするためには、敏感かつ適切に音の違いとして表現できるユニットが必要不可欠になります。
もちろん音質的に十分満足のいく音を奏でるのであれば、どれほど個性的な音であろうと、入力信号などの外乱の影響に対し鈍感であろうと一向に構わない話です。
ただその違いがどうしてもすぐに聞こえてしまう方にとっては、やはり適切に反応し表現できる敏感なスピーカーユニットなどをお使いになると、その後の調整が非常に楽になります。
そのような時に重宝するのが、フルレンジユニット1発の再生です。
もちろんマルチシステムであっても敏感に反応するシステムなら問題ありませんが、どうしても不確定要素が多く絡みやすくなるので、時には好みの音からずれたから音が悪いと安易に誤った判断をしてしまう危険性があります。
その点フルレンジユニットなら、はじめからある程度音のバランスもまとめられているわけですので、マルチシステムのバランスをとる際などの指標としても活躍できます。
ただ問題なのは、ユニット一発で広帯域をカバーしなければならず、マルチシステムのようなワイドレンジが難しいという問題もあります。
しかしフルレンジをお使いの方なら十分ご存知のように、バランスの悪い下手なマルチシステムよりも、遥かに密度の濃い素晴らしい音楽を聴けるという話になれば、立場が逆転してきます。
良質なフルレンジユニットの音をマルチシステムで凌駕するというレベルになると、よほど吟味したユニットを用い、適切にチューニングを施しても、そのレベル以上にするのは非常に困難な話です。
そのような意味では、かなりいい加減な音作りをされたマルチシステムなんていうのも世の中にはたくさんあるものです。
さて前回のブログにも書いたように、微妙なカートリッジの適切な針圧調整ができたのも、入力信号に対して敏感に、そして適切に反応して音に表現してくれる、AudioNirvanaのユニットがあってこその話です。
そんな敏感に反応するフルレンジ1発の本当のよさを私に教えてくれたのが、上の画像にあるボロボロのダイヤトーンのP610Aです。
私がオーディオを始めるきっかけは、オートバイで瀕死の重症を負い、しばらくオートバイに乗れない間の繋ぎの趣味として始めたのが始まりです。
そんな流れですので、オーディオを始めたころといえば、好みの音が出ればそれが良い音なのだろうと思っていたわけです。
そんな中で様々なスピーカーを買い込んで鳴らしている中で、以前何度かブログにも書いたように、JBLのD130のバックロードホーンを手に入れて、天下の有名ブランドJBLサウンドだ!と、自信満々に聞いていたのを思い出します。
はじめての15インチクラスの大型システムで、基本的にフルレンジユニットのためJBLの075を繋いだ2ウエイで聴いていました。
そんな時前にも話したように、リサイクルショップで薄汚れたP610Aを購入したのです。
しかもエンクロージャーが無いので、間に合わせに段ボール箱に入れて鳴らしてみたわけですが、入力信号に対する敏感な反応や音質的な質感の表現力や解像度など、どれもD130を遥かに凌駕していたことに驚いたものです。
その後平面バッフルで鳴らすようになったわけですが、上のP610はその頃程度の良い中古を見つけて購入したものなのです。
その頃から友人たちの間では、私は十分気の狂ったオーディオマニアだったらしく、そんな友人や後輩の多くもやがてP610の後期型を購入し、平面バッフルや指定エンクロージャーを製作して鳴らしていました。
さてこのP610に関してですが、私が前期型を中古で手に入れた頃は時代は後期型に移行した頃です。
前期型よりもよりワイドレンジな再生を目指し、エッジは前期型のスポンジからウレタンに変わり、振動板も多少変更を受け、センタキャップなどの仕様変更などもありました。
そして対入力性の向上と、やや重めになった振動板を駆動するため、マグネットも少し強化されました。
また価格を抑えるために、フェライトマグネットモデルもラインナップに加わりました。
それらの変更からより幅広い音楽への対応性は向上したものの、P610前期型が本来が持つバランスの良さは少し崩れてしまい、細やかで繊細な質感の表現など応答性が鈍化してしまったようです。
もちろん下手なスピーカーよりはぜんぜんいいのですけど、スポンジエッジで初期応答性に敏感に反応する前期型を持っていた私は、どうしても触手が動くほどの魅力がありませんでした。
今手に入れやすいモデルの多くは、この後期型になります。
その後限定で発売されたP610の最終版もありますが、こちらはエッジも革製に変更され、音質的にも後期型の不満を改善する方向性になりましたが、やはり短命で生産を終了してしまい入手困難な製品です。
基本スペックは後期型をベースにしていますので、多くの音楽への対応力はあるものの、初期初動や質感の表現力に関しては、やはり前期型の方がその描写や反応は優れています。
しかし製造終了からの年月もかなり経っていますので、こちらも現在では入所困難です。
しかも限定生産の最終モデル以外は、アキレス腱であるエッジの加水分解による劣化が激しく、生産時のコンディションを維持しているのが珍しいほど、やはりその多くはエッジの張替え済みかあるいはボロボロというのがほとんどです。
そのようなわけで、ダイヤトーンのP610に関しては私個人的には前期型が最も好きなユニットで、AudioNirvanaを知るまでは、これこそ最高のフルレンジとさえ思っていたのですが、そんな前期型にも欠点がないわけではありません。
その音の表現力や反応は優れているとはいうものの、どうしてもコンパクトで線の細い表現しかできない面があります。
そのため音楽への対応力も限られてしまい、アコースティクなジャズや小編成のクラッシック、あるいはボーカルなどには抜群の相性を示すものの、その他の音楽によっては物足りない鳴り方になってしまうこともあります。
同じボーカルものでも、近代の歌謡曲などもやはり録音の質の悪さばかりを露呈するだけで、楽しく聞くというのにもなかなか難しい面がありますね。
そのようなP610ですが、以前も何度かご紹介したValab P-610V 6.5 inch Alnico というモデルが、台湾のパーツメーカーから発売されました。
メーカーこそダイヤトーンではありませんが、P610の持つ優れた音質を徹底的に再現するために、熱い情熱を持つ技術者が集い完成させたユニットです。
基本スペックは後期モデルに準じますが、P610歴代のシリーズのアキレス腱であるエッジは、革製のエッジへと改められ強化してあり、しかも磁気回路もダイヤトーン製より強化されています。
Designation P-610VA
Production 2011
Diameter 16cm
Resonance frequency between 65Hz and 75Hz
Nominal power capacity 7W
Max permissible 20W
Sensitivity 90 dB/m/W
Magnet Alnico
Magnetic flux density in the gap 12000 Gauss
Impedance P610VA 8 ohms
Magnet diameter 30 mm
Magnet height 25 mm
Magnet weight 0.92 Kg
これらの仕様変更は、P610の持つ基本性能を、現代の音楽にも順応できるようにするための改善ともいえますので、古きよき時代のP610の音を現代でも気軽に、しかも永く楽しむ事ができるという意味では、とても魅力的なユニットといえます。
ただどうしてもダイヤトーンというブランド名でなければ納得できないという、ダイヤトーンファンの方にはお勧めできませんが、バランス的に優れ、音質表現力や入力信号にも敏感に反応してくる、そんな魅力のあるフルレンジをお望みの方にはお勧めできるユニットですね。
もちろん大型システムのようなパワフルさは望めませんが、それでも十分な再生が楽しめるのではないでしょうか。
今の私のオーディオの音作りの原点を教えてくれたのがP610です。
様々なスピーカーシステムを聴いてみましたが、P610の本質的な能力を超えるシステムというのは非常に少ない気がします。
もちろん好みの音でなれば、どれほどバランスが悪かろうが、めちゃくちゃな音になろうが、それはそれでひとつのオーディオの世界ですけど、一度原点に返ってみて、良質なフルレンジを楽しんでみるのもなかなか面白いものですね。
と、今回も長くなってしまいましたが、今回はここまで。
また次回楽しい話をしていきたいと思います。
サムライジャパンでございます。
いやはや暑くなりましたね。
夏本番到来を感じさせるようになりました。
さて前回のブログでは、こんな暑さによって影響を受けやすい、アナログプレーヤーの針圧調整についてお話をしました。
とはいいましても、暑いから必ずしも針圧調整が必要かと聞かれれば、トーンアームやカートリッジ次第では、針圧調整が必ずしも必要でないものだってあります。
一方ほんのわずかな気温差に敏感で、常に微調整が要求されるものだってあります。
だからこれは実際に必要な場合にのみ調整をされればいい事です。
でも基本的な適正針圧を中心に、極端な使い方をしないようしなければならないのは当たり前の事ですけどね。
さてそんな針圧調整ですが、お使いのシステムによっては、音としてその違いを聞き取るのが困難なシステムというのもあります。
たとえば独自の音質的なキャラクターで音楽を奏でる装置の場合、そのような入力信号の差に敏感に反応しにくいシステムもありますので、針圧による音の違いを聞き取りにくい場合もあります。
またオーディオは一種の芸術的要素を持つため、感性的にそのような違いをあまり気にならない方もいるわけですので、それが何かに気がつかないレベルであれば、特別神経質になる必要もありません。
という事で、この針圧による音の違い、あるいは新しく手に入れたケーブルの音の違いなど、そのような微細な音の違いをテストするためには、敏感かつ適切に音の違いとして表現できるユニットが必要不可欠になります。
もちろん音質的に十分満足のいく音を奏でるのであれば、どれほど個性的な音であろうと、入力信号などの外乱の影響に対し鈍感であろうと一向に構わない話です。
ただその違いがどうしてもすぐに聞こえてしまう方にとっては、やはり適切に反応し表現できる敏感なスピーカーユニットなどをお使いになると、その後の調整が非常に楽になります。
そのような時に重宝するのが、フルレンジユニット1発の再生です。
もちろんマルチシステムであっても敏感に反応するシステムなら問題ありませんが、どうしても不確定要素が多く絡みやすくなるので、時には好みの音からずれたから音が悪いと安易に誤った判断をしてしまう危険性があります。
その点フルレンジユニットなら、はじめからある程度音のバランスもまとめられているわけですので、マルチシステムのバランスをとる際などの指標としても活躍できます。
ただ問題なのは、ユニット一発で広帯域をカバーしなければならず、マルチシステムのようなワイドレンジが難しいという問題もあります。
しかしフルレンジをお使いの方なら十分ご存知のように、バランスの悪い下手なマルチシステムよりも、遥かに密度の濃い素晴らしい音楽を聴けるという話になれば、立場が逆転してきます。
良質なフルレンジユニットの音をマルチシステムで凌駕するというレベルになると、よほど吟味したユニットを用い、適切にチューニングを施しても、そのレベル以上にするのは非常に困難な話です。
そのような意味では、かなりいい加減な音作りをされたマルチシステムなんていうのも世の中にはたくさんあるものです。
さて前回のブログにも書いたように、微妙なカートリッジの適切な針圧調整ができたのも、入力信号に対して敏感に、そして適切に反応して音に表現してくれる、AudioNirvanaのユニットがあってこその話です。
そんな敏感に反応するフルレンジ1発の本当のよさを私に教えてくれたのが、上の画像にあるボロボロのダイヤトーンのP610Aです。
私がオーディオを始めるきっかけは、オートバイで瀕死の重症を負い、しばらくオートバイに乗れない間の繋ぎの趣味として始めたのが始まりです。
そんな流れですので、オーディオを始めたころといえば、好みの音が出ればそれが良い音なのだろうと思っていたわけです。
そんな中で様々なスピーカーを買い込んで鳴らしている中で、以前何度かブログにも書いたように、JBLのD130のバックロードホーンを手に入れて、天下の有名ブランドJBLサウンドだ!と、自信満々に聞いていたのを思い出します。
はじめての15インチクラスの大型システムで、基本的にフルレンジユニットのためJBLの075を繋いだ2ウエイで聴いていました。
そんな時前にも話したように、リサイクルショップで薄汚れたP610Aを購入したのです。
しかもエンクロージャーが無いので、間に合わせに段ボール箱に入れて鳴らしてみたわけですが、入力信号に対する敏感な反応や音質的な質感の表現力や解像度など、どれもD130を遥かに凌駕していたことに驚いたものです。
その後平面バッフルで鳴らすようになったわけですが、上のP610はその頃程度の良い中古を見つけて購入したものなのです。
その頃から友人たちの間では、私は十分気の狂ったオーディオマニアだったらしく、そんな友人や後輩の多くもやがてP610の後期型を購入し、平面バッフルや指定エンクロージャーを製作して鳴らしていました。
さてこのP610に関してですが、私が前期型を中古で手に入れた頃は時代は後期型に移行した頃です。
前期型よりもよりワイドレンジな再生を目指し、エッジは前期型のスポンジからウレタンに変わり、振動板も多少変更を受け、センタキャップなどの仕様変更などもありました。
そして対入力性の向上と、やや重めになった振動板を駆動するため、マグネットも少し強化されました。
また価格を抑えるために、フェライトマグネットモデルもラインナップに加わりました。
それらの変更からより幅広い音楽への対応性は向上したものの、P610前期型が本来が持つバランスの良さは少し崩れてしまい、細やかで繊細な質感の表現など応答性が鈍化してしまったようです。
もちろん下手なスピーカーよりはぜんぜんいいのですけど、スポンジエッジで初期応答性に敏感に反応する前期型を持っていた私は、どうしても触手が動くほどの魅力がありませんでした。
今手に入れやすいモデルの多くは、この後期型になります。
その後限定で発売されたP610の最終版もありますが、こちらはエッジも革製に変更され、音質的にも後期型の不満を改善する方向性になりましたが、やはり短命で生産を終了してしまい入手困難な製品です。
基本スペックは後期型をベースにしていますので、多くの音楽への対応力はあるものの、初期初動や質感の表現力に関しては、やはり前期型の方がその描写や反応は優れています。
しかし製造終了からの年月もかなり経っていますので、こちらも現在では入所困難です。
しかも限定生産の最終モデル以外は、アキレス腱であるエッジの加水分解による劣化が激しく、生産時のコンディションを維持しているのが珍しいほど、やはりその多くはエッジの張替え済みかあるいはボロボロというのがほとんどです。
そのようなわけで、ダイヤトーンのP610に関しては私個人的には前期型が最も好きなユニットで、AudioNirvanaを知るまでは、これこそ最高のフルレンジとさえ思っていたのですが、そんな前期型にも欠点がないわけではありません。
その音の表現力や反応は優れているとはいうものの、どうしてもコンパクトで線の細い表現しかできない面があります。
そのため音楽への対応力も限られてしまい、アコースティクなジャズや小編成のクラッシック、あるいはボーカルなどには抜群の相性を示すものの、その他の音楽によっては物足りない鳴り方になってしまうこともあります。
同じボーカルものでも、近代の歌謡曲などもやはり録音の質の悪さばかりを露呈するだけで、楽しく聞くというのにもなかなか難しい面がありますね。
そのようなP610ですが、以前も何度かご紹介したValab P-610V 6.5 inch Alnico というモデルが、台湾のパーツメーカーから発売されました。
メーカーこそダイヤトーンではありませんが、P610の持つ優れた音質を徹底的に再現するために、熱い情熱を持つ技術者が集い完成させたユニットです。
基本スペックは後期モデルに準じますが、P610歴代のシリーズのアキレス腱であるエッジは、革製のエッジへと改められ強化してあり、しかも磁気回路もダイヤトーン製より強化されています。
Designation P-610VA
Production 2011
Diameter 16cm
Resonance frequency between 65Hz and 75Hz
Nominal power capacity 7W
Max permissible 20W
Sensitivity 90 dB/m/W
Magnet Alnico
Magnetic flux density in the gap 12000 Gauss
Impedance P610VA 8 ohms
Magnet diameter 30 mm
Magnet height 25 mm
Magnet weight 0.92 Kg
これらの仕様変更は、P610の持つ基本性能を、現代の音楽にも順応できるようにするための改善ともいえますので、古きよき時代のP610の音を現代でも気軽に、しかも永く楽しむ事ができるという意味では、とても魅力的なユニットといえます。
ただどうしてもダイヤトーンというブランド名でなければ納得できないという、ダイヤトーンファンの方にはお勧めできませんが、バランス的に優れ、音質表現力や入力信号にも敏感に反応してくる、そんな魅力のあるフルレンジをお望みの方にはお勧めできるユニットですね。
もちろん大型システムのようなパワフルさは望めませんが、それでも十分な再生が楽しめるのではないでしょうか。
今の私のオーディオの音作りの原点を教えてくれたのがP610です。
様々なスピーカーシステムを聴いてみましたが、P610の本質的な能力を超えるシステムというのは非常に少ない気がします。
もちろん好みの音でなれば、どれほどバランスが悪かろうが、めちゃくちゃな音になろうが、それはそれでひとつのオーディオの世界ですけど、一度原点に返ってみて、良質なフルレンジを楽しんでみるのもなかなか面白いものですね。
と、今回も長くなってしまいましたが、今回はここまで。
また次回楽しい話をしていきたいと思います。
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