2024/12/04 21:28 |
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2013/02/04 11:17 |
振動を考えてみます。 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
さてここ数回に分けてYAMAHAのGT2000に装備してある、YSA-2ピュアストレートアームの、アームパイプを改造するお話をしました。
トーンアームの剛性が信号のピックアップ性に直接影響し、音の切れ味やスピード感や解像度などにとても大きな影響があるようですね。
一般的にショートアームの方が同じ材質なら剛性も高くなりますので、おおらかな鳴らし方をするなら逆にロングアームの方が優位性があるのかもしれませんね。
さて時々質問を受ける事があるのですが、うちで鳴らしているAudioNirvanaですが、梱包用にストックしていたダンボール製のエンクロージャー(エンクロージャーっていうな)に入れて、健全なオーディオマニアなら卒倒してしまう、見た目も見るも無残な姿で鳴らしているわけで、誰が見てもその外観通り惨い音がすると確信していると思います。
当然ダンボールなんて、エンクロージャーの材質としてみれば最低最悪の部類で、粗悪な木材のほうがよほど良い音がするのは間違いないでしょう。
でも、実際うちで聴いた人は、その見た目と裏腹の再生音に驚く事がほとんどです。
という事で、今回はそのあたりを含めた振動について少し考えてみたいと思います。
前にもお話しましたが、以前私はALTECの515Cを36ミリ厚のアピトン合板の強固なエンクロージャーに入れて鳴らしていました。
もちろん補強も強固な組み方をしてあります。
高剛性高比重のエンクロージャーは、515のハイスピードな強力なエネルギーを受け止めるためには必要不可欠、そして床は地面にダイレクトにコンクリートを流し込み、その上に重歩行用のハードなシートで覆うという、徹底的に剛性を高める方向性の場所で鳴らしていました。
大型エンクロージャーといっても、床にべた置きにはせず、当初はノリタケの硬質セラミックベースの上に乗せ、コイン上のスペーサーをかませた状態で鳴らしていたのです。
現在のダンボール箱や雑誌の上に載せたりしている姿とは真逆の鳴らし方です。
ところで皆さんは、様々なスピーカーの置きかたをテストされた方は多いのではないでしょうか。
今は少なくなりましたが、かつて流行りだったブックシェルフタイプのスピーカーなど、高さを合わせる目的以外に、音のチューニングという意味で、様々な材質の台に乗せたり、様々な置きかたを工夫した経験をお持ちの方も多いはず。
上に鳴きを抑えるために錘を載せたり、台とスピーカーの間にコインを挟んでみたりなど、それによって再生音が変わる経験をされた方は多いと思います。
でもよく考えてみると、アンプやソースやケーブルが同一なら、入力信号は基本的に同じはずです。
そしてその信号に対しユニットが反応するというところまでは基本的に変化はないはず。
しかし実際聞こえる音が変化したのはなぜ?
スピーカーを機械としてみた場合、入力信号に対し振動版が動いて音を出します。
そこでその音をより正確に出すためには、支店と作用点、作用と反作用の観点からも、ぐらつきのないしっかりとした所に置いて鳴らすのは基本です。
そんな事様々な教科書に書かれた基本中の基本なので、皆さんには常識だと思います。
でもこれは一定の振幅運動とだけみている場合の話で、実際の音楽には様々な周波数の混在する信号になりますので、単純なピストンモーションの理屈など通用しない非常識な世界になります。
また台やスタンドの材質や、間に挟むスペーサーによってスピーカの音が変わるのはなぜでしょう?
話を少し戻しますが、私がALTECを鳴らしている時、はじめはあまり気がつかなかったのですが、実はコンクリート特有の低周波の雑音が音に乗って聞こえていたのです。
エンクロージャーも高比重高剛性、ユニットもハイスピードな高エネルギー高反応、そしてその動きをしっかり抑えるために硬質セラミックのベース。
実はこれがダイレクトにコンクリートの床に伝わり、コンクリートの床全体、つまり地面を激しく振動させていました。
その地面の振動がコンクリートに再び乗り、そしてその振動が今度はスピーカーのエンクロージャーにも伝わり、置いてあるアンプやプレーヤーなど、オーディオ機器全体に伝わっていたのです。
そのためコンクリート特有の低周波数域の振動が、結果として音を濁らせる音を助長してしまったのです。
地面に直接コンクリートを流し込んだのだから振動には強いと信じていましたが、コンクリートでも地面でも、固有の共振を起こしてしまうのですね。
この理屈は巨大な超重量級のターンテーブルを持つアナログプレーヤーでもよくある話で、ハウリングなどには強そうで凄そうな音がしそうな感じは受けるものの、実際の再生音はデリカシーに欠けたぱっとしない音なんていうことが多い事からも伺える話です。
もちろん歩く度ギシギシ鳴ってしまう弱い床や、ガンガン響きやすい床の場合よりはましとはいえ、一番硬いといわれるダイヤモンドでさえ弾性があることからも、程度の差こそあれ固有の鳴きが生じてしまうのです。
そのような意味で言えば、高比重高剛性ならすべてよしとはいかず、最終的には剛と軟のバランスのとり方といえます。
過ぎざるは及ばざるが如しということですね。
ところで先ほどのエンクロージャーの置き方やセッティングでの音の違いの話ですが、一番大きな要因としては、エンクロージャー全体の共振モードの変化が大きいのではないでしょうか。
これはどのような構造や材質でも同じで、置き方や接触のさせ方、または錘を載せたりするのも、この床や台、スピーカー全体の共振モードを大きく変化させるからだと思います。
そしてその共振モードの響き方も音として聞こえてくる部分もあり、それが不快な音を出さなくなればよい音として感じるわけで、そのため皆さんも様々なセッティングを試みているのではないでしょうか。
そしてこの共振モードの変化は、ユニット自体にも振動として伝わりますので、その相乗効果もあって音に大きく影響してくるものだと思います。
またこれはBOX型のエンクロージャーの場合ですが、どうしてもはこの内部には平行面が起きますので、そこで様々な周波数の定在波も起こし、それもエンクロージャーの共振に大きな影響を与えてしまいます。
この定在波はエンクロージャーの共振だけでは収まらず、ユニット裏面から振動版を直接振動させてしまう事もあり、入力信号以外の音が振動版に乗ってしまい、結果として音を濁らせることも多くあります。
これが箱特有の音として認識される部分でもあります。
さてスピーカーを自作される方にとって大きな関心ごとのひとつに、音の良い材質の選定というものがあります。
ネット上でも皆さんご紹介されていると思うので、何が音がいいだのあれは音がよくないだのと言う話を目にする機会も多いはずです。
これなども例の共振の違いに大きな影響があり、それが結果として音の良し悪しを決めていると思います。
またこの共振の性質ですが、補強材の入れ方や組み方でも大きく変わる為、音質的に評判の良い板でエンクロージャーを組んでみたものの、思ったように良い音がしなかったり、比較的評判のよくない材質を用いたものの、とてもすばらしい音のするエンクロージャーになったり、板特有の響きの良し悪し以外にも様々な要因があります。
これらはある程度自作を経験すれば意外と見つけやすい事なのですので、様々な情報を参考に、色々とテストしてみてはいかがでしょうか。
そのような意味でうちにあるダンボールスペシャルは、非常識極まりない不健全な鳴らし方といえます。
見た目の悪さもそうですが、誰が考えたってまともな音などしそうもありません。
でも実際に試聴した人を十分驚かす事も、下手なスピーカシステムより繊細で高反応な音だって出せないわけではありません。
部屋中の空気を動かすような物凄い低音なんて出すのは難しい話ですけど、ドラムのアタック音もシンバルンの切れ味も、繊細なバイオリンの弦の擦れる音も、艶のある色気を感じる歌声も、こんな惨たらしいダンボールのスピーカーの再生音に到達できないものは数多くあるのではないでしょうか。
ある意味最低最悪の材質だからこそ、定在波の処理や箱鳴りの抑制など、はじめてそこから見えてくる世界もあります。
闇雲に板厚を分厚くすればいいとか、補強をたくさんすればいいとか、そのような常識が必ずしも適切ではない点を教えてくれます。
もちろん木材のようにある程度のレベルへ容易く到達できませんが、今までの常識的な既成概念や固定概念を打ち砕くものを感じるはずです。
世界の名機を持ち込んだからといって、人気や評判が良いシステムを手に入れたからといって、必ずしもすばらしい音楽を聴けるとは限りません。
皆さんもそんなお手持ちの機器を、今一度鳴らし方を見直してはいかがでしょう。
隠れているすばらしい素質を見つける事ができるかもしれませんよ。
というよりいい加減ダンボールで限界への挑戦なんてしてないで、とっとと木製のエンクロージャーを作れといわれそうですけどね。
という事で今回はここまで。
また次回楽しい話をしたいと思います。
サムライジャパンでございます。
さてここ数回に分けてYAMAHAのGT2000に装備してある、YSA-2ピュアストレートアームの、アームパイプを改造するお話をしました。
トーンアームの剛性が信号のピックアップ性に直接影響し、音の切れ味やスピード感や解像度などにとても大きな影響があるようですね。
一般的にショートアームの方が同じ材質なら剛性も高くなりますので、おおらかな鳴らし方をするなら逆にロングアームの方が優位性があるのかもしれませんね。
さて時々質問を受ける事があるのですが、うちで鳴らしているAudioNirvanaですが、梱包用にストックしていたダンボール製のエンクロージャー(エンクロージャーっていうな)に入れて、健全なオーディオマニアなら卒倒してしまう、見た目も見るも無残な姿で鳴らしているわけで、誰が見てもその外観通り惨い音がすると確信していると思います。
当然ダンボールなんて、エンクロージャーの材質としてみれば最低最悪の部類で、粗悪な木材のほうがよほど良い音がするのは間違いないでしょう。
でも、実際うちで聴いた人は、その見た目と裏腹の再生音に驚く事がほとんどです。
という事で、今回はそのあたりを含めた振動について少し考えてみたいと思います。
前にもお話しましたが、以前私はALTECの515Cを36ミリ厚のアピトン合板の強固なエンクロージャーに入れて鳴らしていました。
もちろん補強も強固な組み方をしてあります。
高剛性高比重のエンクロージャーは、515のハイスピードな強力なエネルギーを受け止めるためには必要不可欠、そして床は地面にダイレクトにコンクリートを流し込み、その上に重歩行用のハードなシートで覆うという、徹底的に剛性を高める方向性の場所で鳴らしていました。
大型エンクロージャーといっても、床にべた置きにはせず、当初はノリタケの硬質セラミックベースの上に乗せ、コイン上のスペーサーをかませた状態で鳴らしていたのです。
現在のダンボール箱や雑誌の上に載せたりしている姿とは真逆の鳴らし方です。
ところで皆さんは、様々なスピーカーの置きかたをテストされた方は多いのではないでしょうか。
今は少なくなりましたが、かつて流行りだったブックシェルフタイプのスピーカーなど、高さを合わせる目的以外に、音のチューニングという意味で、様々な材質の台に乗せたり、様々な置きかたを工夫した経験をお持ちの方も多いはず。
上に鳴きを抑えるために錘を載せたり、台とスピーカーの間にコインを挟んでみたりなど、それによって再生音が変わる経験をされた方は多いと思います。
でもよく考えてみると、アンプやソースやケーブルが同一なら、入力信号は基本的に同じはずです。
そしてその信号に対しユニットが反応するというところまでは基本的に変化はないはず。
しかし実際聞こえる音が変化したのはなぜ?
スピーカーを機械としてみた場合、入力信号に対し振動版が動いて音を出します。
そこでその音をより正確に出すためには、支店と作用点、作用と反作用の観点からも、ぐらつきのないしっかりとした所に置いて鳴らすのは基本です。
そんな事様々な教科書に書かれた基本中の基本なので、皆さんには常識だと思います。
でもこれは一定の振幅運動とだけみている場合の話で、実際の音楽には様々な周波数の混在する信号になりますので、単純なピストンモーションの理屈など通用しない非常識な世界になります。
また台やスタンドの材質や、間に挟むスペーサーによってスピーカの音が変わるのはなぜでしょう?
話を少し戻しますが、私がALTECを鳴らしている時、はじめはあまり気がつかなかったのですが、実はコンクリート特有の低周波の雑音が音に乗って聞こえていたのです。
エンクロージャーも高比重高剛性、ユニットもハイスピードな高エネルギー高反応、そしてその動きをしっかり抑えるために硬質セラミックのベース。
実はこれがダイレクトにコンクリートの床に伝わり、コンクリートの床全体、つまり地面を激しく振動させていました。
その地面の振動がコンクリートに再び乗り、そしてその振動が今度はスピーカーのエンクロージャーにも伝わり、置いてあるアンプやプレーヤーなど、オーディオ機器全体に伝わっていたのです。
そのためコンクリート特有の低周波数域の振動が、結果として音を濁らせる音を助長してしまったのです。
地面に直接コンクリートを流し込んだのだから振動には強いと信じていましたが、コンクリートでも地面でも、固有の共振を起こしてしまうのですね。
この理屈は巨大な超重量級のターンテーブルを持つアナログプレーヤーでもよくある話で、ハウリングなどには強そうで凄そうな音がしそうな感じは受けるものの、実際の再生音はデリカシーに欠けたぱっとしない音なんていうことが多い事からも伺える話です。
もちろん歩く度ギシギシ鳴ってしまう弱い床や、ガンガン響きやすい床の場合よりはましとはいえ、一番硬いといわれるダイヤモンドでさえ弾性があることからも、程度の差こそあれ固有の鳴きが生じてしまうのです。
そのような意味で言えば、高比重高剛性ならすべてよしとはいかず、最終的には剛と軟のバランスのとり方といえます。
過ぎざるは及ばざるが如しということですね。
ところで先ほどのエンクロージャーの置き方やセッティングでの音の違いの話ですが、一番大きな要因としては、エンクロージャー全体の共振モードの変化が大きいのではないでしょうか。
これはどのような構造や材質でも同じで、置き方や接触のさせ方、または錘を載せたりするのも、この床や台、スピーカー全体の共振モードを大きく変化させるからだと思います。
そしてその共振モードの響き方も音として聞こえてくる部分もあり、それが不快な音を出さなくなればよい音として感じるわけで、そのため皆さんも様々なセッティングを試みているのではないでしょうか。
そしてこの共振モードの変化は、ユニット自体にも振動として伝わりますので、その相乗効果もあって音に大きく影響してくるものだと思います。
またこれはBOX型のエンクロージャーの場合ですが、どうしてもはこの内部には平行面が起きますので、そこで様々な周波数の定在波も起こし、それもエンクロージャーの共振に大きな影響を与えてしまいます。
この定在波はエンクロージャーの共振だけでは収まらず、ユニット裏面から振動版を直接振動させてしまう事もあり、入力信号以外の音が振動版に乗ってしまい、結果として音を濁らせることも多くあります。
これが箱特有の音として認識される部分でもあります。
さてスピーカーを自作される方にとって大きな関心ごとのひとつに、音の良い材質の選定というものがあります。
ネット上でも皆さんご紹介されていると思うので、何が音がいいだのあれは音がよくないだのと言う話を目にする機会も多いはずです。
これなども例の共振の違いに大きな影響があり、それが結果として音の良し悪しを決めていると思います。
またこの共振の性質ですが、補強材の入れ方や組み方でも大きく変わる為、音質的に評判の良い板でエンクロージャーを組んでみたものの、思ったように良い音がしなかったり、比較的評判のよくない材質を用いたものの、とてもすばらしい音のするエンクロージャーになったり、板特有の響きの良し悪し以外にも様々な要因があります。
これらはある程度自作を経験すれば意外と見つけやすい事なのですので、様々な情報を参考に、色々とテストしてみてはいかがでしょうか。
そのような意味でうちにあるダンボールスペシャルは、非常識極まりない不健全な鳴らし方といえます。
見た目の悪さもそうですが、誰が考えたってまともな音などしそうもありません。
でも実際に試聴した人を十分驚かす事も、下手なスピーカシステムより繊細で高反応な音だって出せないわけではありません。
部屋中の空気を動かすような物凄い低音なんて出すのは難しい話ですけど、ドラムのアタック音もシンバルンの切れ味も、繊細なバイオリンの弦の擦れる音も、艶のある色気を感じる歌声も、こんな惨たらしいダンボールのスピーカーの再生音に到達できないものは数多くあるのではないでしょうか。
ある意味最低最悪の材質だからこそ、定在波の処理や箱鳴りの抑制など、はじめてそこから見えてくる世界もあります。
闇雲に板厚を分厚くすればいいとか、補強をたくさんすればいいとか、そのような常識が必ずしも適切ではない点を教えてくれます。
もちろん木材のようにある程度のレベルへ容易く到達できませんが、今までの常識的な既成概念や固定概念を打ち砕くものを感じるはずです。
世界の名機を持ち込んだからといって、人気や評判が良いシステムを手に入れたからといって、必ずしもすばらしい音楽を聴けるとは限りません。
皆さんもそんなお手持ちの機器を、今一度鳴らし方を見直してはいかがでしょう。
隠れているすばらしい素質を見つける事ができるかもしれませんよ。
というよりいい加減ダンボールで限界への挑戦なんてしてないで、とっとと木製のエンクロージャーを作れといわれそうですけどね。
という事で今回はここまで。
また次回楽しい話をしたいと思います。
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