2024/12/04 21:15 |
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2013/02/04 13:07 |
LCR共振回路とクロスオーバーネットワーク |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
前回のブログの書き込みから少し日が開いてしまいましたが、連日のロンドンオリンピックのように元気ですごしておりました。
さて今回はLCRネットワークにまつわるお話をしたいと思います。
私がまだ高校生のころ、まだオーディオにはそれ程強い関心があるほどではなく、当時はバイクに夢中でいたころの話です。
クラスメイトの中に自称オーディオマニアという同級生がいて、その友人宅に遊びに行ったときのことです。
友人の部屋には自慢のステレオが置いてあり、当時まだステレオなんて持っていなかった私にとっいて未知の物でした。
その友人がスピーカーに付いたつまみをぐるぐると回していたので、何も知らない私は友人に尋ねたのです。
「何してるの?」
こう尋ねた私に対し、友人は自信満々なドヤ顔で答えたのです。
「スピーカーのチューニングをしているのさ!」
当時は何の話かわからない私はただ聞いているだけでしたが、今思えばアッテネーターのつまみを動かしていただけの話です。
2ウエイや3ウエイの場合ユニット間の能率の違いもあって、昔のスピーカーの多くにはアッテネーターが付いたものが多かったと思います。
でも最近はこのアッテネーターが付いていないモデルが多くなりました。
理由はひじょうに簡単です。
このアッテネータが音楽信号に悪影響がとても大きく、音を劣化させやすいのです。
そのような事もあり、最近は音質劣化を避けるため、アッテネーターの付いていないモデルが主流となったわけです。
しかしミッドレンジやハイレンジにホーンドライバーやホーントゥイーターを繋ぐ場合、どうしてもその能率が高いため、音圧レベルを合わせる意味でどうしても必要になります。
さて先日はお客様からご注文をいただいていた、ALTEC 604系のクロスーバーネットワークがアメリカから到着いたしました。
メーカーはALTECの生産設備をそっくり引き継いだGreat Plains Audio社の製品です。
ALTEC604系といえば、同軸2ウエイのユニットとして、未だにひじょうに人気の高いモデルですね。
ALTECの純正ネットワークには、画像にもあるように音圧レベルをあわせるためのアッテネーターが付いていました。
しかしこの純正ネットワーク、正直音質的にはあまり感心できる音がしないのも事実です。
たとえばP.AUDIOの同軸2ウエイユニットの裸特性を見てもらうとよく分かるのですが、赤線で描かれたホーントゥイーターのF特性はかまぼこ型であり、しかも青のウーハーよりも音圧が高いのがよく分かります。
ALTECの604系も基本的に同じような感じになります。
たとえばアッテネーターで調節をするとどうなるかといえば、このかまぼこ型の特性がそのまま低くなるのです。
しかしこのかまぼこ型の特性の場合、聴感上音圧の高いところの音がよく聞こえるわけですので、ハイエンドの高音域の伸びを感じにくく、スーパートゥイーターを付けたいと思うかもしれません。
これは定抵抗型、トランス型で音圧を調整しても基本的に同じなのですが、じつはLCR共振回路を用いる事により、このかまぼこ型の音圧を落としたい部分だけ平らに均すことが可能なのです。
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これはL. Cao 6.5" inch Alnicoを例にお話をすれば、たとえばフルレンジユニットでも高音域などの音圧が少し高めのものも中にはあります。
このようなものもLCR共振回路を用いて、その落としたい部分だけを綺麗に均すことが可能になります。
このLCR回路のコイル、コンデンサ、抵抗の値を変更する事により、コントロールしたい周波数や減衰量を調節する事ができます。
TADのユニットを用いたエクスクルーシブの2ウエイモニターがありましたが、これなども高音域のドライバーの特性をフラットに均して、音圧を合わせると同時に20KHzまできっちり特性を伸ばせるようにするため、クロスオーバーネットワークの中にこのLCR共振回路が組み込まれているのです。
これによりかまぼこ型の耳に付きやすい周波数の音圧を押さえ、音圧が低くて聞こえにくくなる高音域にレベルも合いやすくなるため、2インチという大口径のドライバーを用いながら、2ウエイの構成でも聴感上高音域まできっちり伸びた特性を実現する事が可能です。
またアッテネーターの必要がないため、音楽信号の損失も少なく音質的に優れているのです。
じつはGreat Plains Audio社が作るALTEC604系ユニット用のネットワークも、この音質を悪化させる要素が高いアッテネーターを排除し、しかも604系のユニットをフルレンジのように鳴らすことができるように、クロスオーバーネットワークにLCRの共振回路が組み込まれています。
これにより、ALTECの純正ネットワークに比べアッテネーターが無い分音質的に優れているだけではなく、聴感上も高音域の伸びを感じやすいなど、ALTECの604系の純正代替品というより、オリジナルよりもハイクォリティーな音質が得られるため、グレードアップ品として考えてもいいかもしれませんね。
604系の純正ネットワークの場合、高域の伸びが感じにくくナローレンジに聞こえますので、なんとなく古臭い音質に感じやすくなります。
それがオリジナルの味だとお考えの方にはお勧めはできませんけど、ユニットの能力を最大限に引き出してみたい方にはお勧めできるもんかもしれませんね。
しかも同軸2ウエイでありながら、まるでフルレンジユニットのように扱えるなど、意外と使いやすくなるのもメリットかもしれませんね。
ちなみにGreat Plains Audio社現在生産する604系の復刻版ユニットも、このクロスオーバーネットワークがはじめから付属していますので、その使い勝手はフルレンジユニットとほとんど同じです。
さてこのクロスオーバーネットワークは、Great Plains Audio社が作るALTEC604系復刻版だけではなく、ALTEC604シリーズのグレードアップ用のネットワークとしても対応可能な製品なのです。
はじめの方にも話しましたが、このネットワーク内に組まれたLCR共振回路ですが、本来なら複雑な計算式の説明など必要ですけど、説明だけでかなりのボリュームにもなりますので割愛させていただきますが、音質的な悪影響が少ない方法のひとつですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。
もちろんぐりぐりとツマミを回すのが至上の喜びと感じるマニアの方にはお勧めできない事ですけどね。
さて今回はここまで。
また楽しい話をしたいと思います。
サムライジャパンでございます。
前回のブログの書き込みから少し日が開いてしまいましたが、連日のロンドンオリンピックのように元気ですごしておりました。
さて今回はLCRネットワークにまつわるお話をしたいと思います。
私がまだ高校生のころ、まだオーディオにはそれ程強い関心があるほどではなく、当時はバイクに夢中でいたころの話です。
クラスメイトの中に自称オーディオマニアという同級生がいて、その友人宅に遊びに行ったときのことです。
友人の部屋には自慢のステレオが置いてあり、当時まだステレオなんて持っていなかった私にとっいて未知の物でした。
その友人がスピーカーに付いたつまみをぐるぐると回していたので、何も知らない私は友人に尋ねたのです。
「何してるの?」
こう尋ねた私に対し、友人は自信満々なドヤ顔で答えたのです。
「スピーカーのチューニングをしているのさ!」
当時は何の話かわからない私はただ聞いているだけでしたが、今思えばアッテネーターのつまみを動かしていただけの話です。
2ウエイや3ウエイの場合ユニット間の能率の違いもあって、昔のスピーカーの多くにはアッテネーターが付いたものが多かったと思います。
でも最近はこのアッテネーターが付いていないモデルが多くなりました。
理由はひじょうに簡単です。
このアッテネータが音楽信号に悪影響がとても大きく、音を劣化させやすいのです。
そのような事もあり、最近は音質劣化を避けるため、アッテネーターの付いていないモデルが主流となったわけです。
しかしミッドレンジやハイレンジにホーンドライバーやホーントゥイーターを繋ぐ場合、どうしてもその能率が高いため、音圧レベルを合わせる意味でどうしても必要になります。
さて先日はお客様からご注文をいただいていた、ALTEC 604系のクロスーバーネットワークがアメリカから到着いたしました。
メーカーはALTECの生産設備をそっくり引き継いだGreat Plains Audio社の製品です。
ALTEC604系といえば、同軸2ウエイのユニットとして、未だにひじょうに人気の高いモデルですね。
ALTECの純正ネットワークには、画像にもあるように音圧レベルをあわせるためのアッテネーターが付いていました。
しかしこの純正ネットワーク、正直音質的にはあまり感心できる音がしないのも事実です。
たとえばP.AUDIOの同軸2ウエイユニットの裸特性を見てもらうとよく分かるのですが、赤線で描かれたホーントゥイーターのF特性はかまぼこ型であり、しかも青のウーハーよりも音圧が高いのがよく分かります。
ALTECの604系も基本的に同じような感じになります。
たとえばアッテネーターで調節をするとどうなるかといえば、このかまぼこ型の特性がそのまま低くなるのです。
しかしこのかまぼこ型の特性の場合、聴感上音圧の高いところの音がよく聞こえるわけですので、ハイエンドの高音域の伸びを感じにくく、スーパートゥイーターを付けたいと思うかもしれません。
これは定抵抗型、トランス型で音圧を調整しても基本的に同じなのですが、じつはLCR共振回路を用いる事により、このかまぼこ型の音圧を落としたい部分だけ平らに均すことが可能なのです。
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これはL. Cao 6.5" inch Alnicoを例にお話をすれば、たとえばフルレンジユニットでも高音域などの音圧が少し高めのものも中にはあります。
このようなものもLCR共振回路を用いて、その落としたい部分だけを綺麗に均すことが可能になります。
このLCR回路のコイル、コンデンサ、抵抗の値を変更する事により、コントロールしたい周波数や減衰量を調節する事ができます。
TADのユニットを用いたエクスクルーシブの2ウエイモニターがありましたが、これなども高音域のドライバーの特性をフラットに均して、音圧を合わせると同時に20KHzまできっちり特性を伸ばせるようにするため、クロスオーバーネットワークの中にこのLCR共振回路が組み込まれているのです。
これによりかまぼこ型の耳に付きやすい周波数の音圧を押さえ、音圧が低くて聞こえにくくなる高音域にレベルも合いやすくなるため、2インチという大口径のドライバーを用いながら、2ウエイの構成でも聴感上高音域まできっちり伸びた特性を実現する事が可能です。
またアッテネーターの必要がないため、音楽信号の損失も少なく音質的に優れているのです。
じつはGreat Plains Audio社が作るALTEC604系ユニット用のネットワークも、この音質を悪化させる要素が高いアッテネーターを排除し、しかも604系のユニットをフルレンジのように鳴らすことができるように、クロスオーバーネットワークにLCRの共振回路が組み込まれています。
これにより、ALTECの純正ネットワークに比べアッテネーターが無い分音質的に優れているだけではなく、聴感上も高音域の伸びを感じやすいなど、ALTECの604系の純正代替品というより、オリジナルよりもハイクォリティーな音質が得られるため、グレードアップ品として考えてもいいかもしれませんね。
604系の純正ネットワークの場合、高域の伸びが感じにくくナローレンジに聞こえますので、なんとなく古臭い音質に感じやすくなります。
それがオリジナルの味だとお考えの方にはお勧めはできませんけど、ユニットの能力を最大限に引き出してみたい方にはお勧めできるもんかもしれませんね。
しかも同軸2ウエイでありながら、まるでフルレンジユニットのように扱えるなど、意外と使いやすくなるのもメリットかもしれませんね。
ちなみにGreat Plains Audio社現在生産する604系の復刻版ユニットも、このクロスオーバーネットワークがはじめから付属していますので、その使い勝手はフルレンジユニットとほとんど同じです。
さてこのクロスオーバーネットワークは、Great Plains Audio社が作るALTEC604系復刻版だけではなく、ALTEC604シリーズのグレードアップ用のネットワークとしても対応可能な製品なのです。
はじめの方にも話しましたが、このネットワーク内に組まれたLCR共振回路ですが、本来なら複雑な計算式の説明など必要ですけど、説明だけでかなりのボリュームにもなりますので割愛させていただきますが、音質的な悪影響が少ない方法のひとつですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。
もちろんぐりぐりとツマミを回すのが至上の喜びと感じるマニアの方にはお勧めできない事ですけどね。
さて今回はここまで。
また楽しい話をしたいと思います。
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