2024/12/04 21:12 |
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2013/04/05 00:04 |
P610 再考 その6 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
さて日々暖かくなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょう。
今回も前回に引き続き、P610エッジ張替えのお話の続きをしていきたいと思います。
ご覧のように私のところのP610前期型は、ポリエステル100%の100円ショップのフェルトの端切れを用い、エッジが消滅した状態から復活を遂げました。
そして早速視聴となったわけです。
今までこのエンクロージャーには、ダンボールスペシャル時代からのAudioNirvanaの16センチAlnicoユニットが取り付けられていました。
エンクロージャーの容積は約140リットルと、元々38センチの2ウエイのPA用ですから、一般的に考えれば16センチクラスという小型コンパクトの物とは別物です。
しかしAudioNirvanaのポテンシャルは非常に高く、たとえばP610の最終生産モデルなどと比較しても、負けずとも劣らない、十二分に張り合える優れた音を聞かせてくれました。
この純正箱のP610最終モデルも非常にバランスよくまとめられてはいるのですが、昔衝撃を受けたP610初期型のような緻密で繊細な表現力や質感表現などで見れば、やはり見劣りする面があるのを感じたものです。
その点AudioNirvanaの方は、このP610最終モデルより鳴りっぷりもよく、もうP610には戻らなくてもいいかなとさえ思えるほど高いポテンシャルを発揮しました。
しかしそうはいっても、心のどこかで僅かに引っかかる面があったのは事実です。
AudioNirvanaの場合、基本的に同じ構成で、16センチ~38センチまでラインナップがあり、しかもそれぞれの口径毎に、アルニコ、ネオジウム、フェライトと三種類の磁気回路が揃っているのですが、実はそれぞれ多少なりとも音質の傾向が異なるのです。
当然振動系の口径により振動板の剛性バランスを考えた設計がされているのでしょうが、基本的に同じ音色傾向に設定するために、振動系の材質そのものは基本的に共通だと思います。
そうなればそれぞれベストとされるバランスが生じてくるわけで、しかも磁気回路との兼ね合いも絡みますから、その傾向は似て異なる物となるのは当然です。
たとえばおなじAlnico磁気回路のAudioNirvanaのユニットを比較してみた場合、私がメインに使用していた16センチよりも、同じ磁気回路の20センチサイズの方が、緻密で繊細な傾向の音色になりやすい事からも、振動系の剛性バランスなどを含めた音への影響が、そのまま再生音の違いとなって感じられるのでしょう。
もちろんそれぞれの口径毎や磁気回路によって音質傾向に違いがあるものの、基本的な音色はAudioNirvana共通であり、明快で快活な音を聴かせてくれます。
さてそのような前置きはこの辺にして、いい加減ボロイP610はどうなの?
という話になりますね。
じつはエッジを直す前の事ですが、ダンボールスペシャルでAudioNirvanaを鳴らしている頃に、約80リットルのダンボール箱で、ボロボロのP610も鳴らしていたのです。
実はこの時、ただならぬものを感じていたのは確かです。
特にアコーステック楽器の質感表現が極めて高く、当然人の声の表現力も正確無比に近いほどの表現力を示していたのは確かです。
近年では圧倒的にポテンシャルが高いと感じていたAudio Nirvana 'Super 6.5 ALNICOも、まだ十分に慣らしこんでいる状態ではないものの、さすがにここまでは表現しきっていませんでした。
おそらく20センチサイズの方が、そのあたりは容易に表現しやすいかもしれませんけど、基本的に人の声の再生を中心に開発されたP610初期型は、ALTECのパンケーキのように、きわめて高い質感表現力を持ち合わせているようです。
これは私がマクソニックのウーハーを手に入れたばかりの頃の話になるのですが、当時の私は画像にあるボロイP610以外に、D130を手放すきっかけとなった、リサイクルショップで手に入れた、古い初期型の8オームバージョンも所有していました。
その頃私の部屋に頻繁に出入りする後輩がいたのです。
その後輩とは主にバイクが共通の趣味で、いつもバイク談義に花を咲かせていたのです。
しかし、ある日の事。
その後輩が帰宅途中で、確認せずに道路へ飛び出してきた女性の運転する車にぶつけられ、バイクは全損で廃車。
後輩も指の骨を折る怪我をしてしまいました。
そこでその後輩が、しばらくバイクに乗れないので、その穴埋めにオーディオをはじめると言い出したのです。
それまでオーディオのオの字も知らないまったくの素人でしたが、取りあえず2A3のシングルアンプと、当時売られていたP610後期型のアルニコモデルで自作する事を薦めたのです。
そんな経緯を持つ後輩が、怪我から約1年後の頃、私の部屋を訪ねて来て、
「先輩!P610の初期型一組譲ってください!!」
と、現金を握り締めてやってきたのです。
もう既に手持ちの後期型のP610は友人に売却済みとの事で、鳴らす物がないという理由を付けて私の部屋を訪れたのです。
話を聞くと、P610の後期型は非常にすばらしい音を奏でるものの、どうしても初期型のような高い質感が出なくて気になっていたとの事です。
そこで初期型を2組所有していた私のところへ、背水の陣で尋ねてきたというわけです。
P610を長年お使いになられているマニアの方の中にもお気付きの方もいると思いますが、デジタル化時代に焦点をあわせて生まれ変わったP610の後期型ですけど、スペック的には確かに大きく改善されていたはずなのですが、音の質感表現など、何か大切な物をどこかへ置き去りにしてしまったようです。
そのあたりをオーディオに対する先入観がまったくない、オーディオ初心者であった後輩も気付いていたらしく、私のところで何度も前期型を聞いていた事もあり、我慢できなくなったようでした。
と話がかなり逸れてしまいましたので今回はここまで。
次回はボロイP610前記型のエッジを、天然皮革のセーム革に張り替えたお話をしていきたいと思います。
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