2024/12/05 12:45 |
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2013/04/05 00:04 |
P610 再考 その6 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
さて日々暖かくなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょう。
今回も前回に引き続き、P610エッジ張替えのお話の続きをしていきたいと思います。
ご覧のように私のところのP610前期型は、ポリエステル100%の100円ショップのフェルトの端切れを用い、エッジが消滅した状態から復活を遂げました。
そして早速視聴となったわけです。
今までこのエンクロージャーには、ダンボールスペシャル時代からのAudioNirvanaの16センチAlnicoユニットが取り付けられていました。
エンクロージャーの容積は約140リットルと、元々38センチの2ウエイのPA用ですから、一般的に考えれば16センチクラスという小型コンパクトの物とは別物です。
しかしAudioNirvanaのポテンシャルは非常に高く、たとえばP610の最終生産モデルなどと比較しても、負けずとも劣らない、十二分に張り合える優れた音を聞かせてくれました。
この純正箱のP610最終モデルも非常にバランスよくまとめられてはいるのですが、昔衝撃を受けたP610初期型のような緻密で繊細な表現力や質感表現などで見れば、やはり見劣りする面があるのを感じたものです。
その点AudioNirvanaの方は、このP610最終モデルより鳴りっぷりもよく、もうP610には戻らなくてもいいかなとさえ思えるほど高いポテンシャルを発揮しました。
しかしそうはいっても、心のどこかで僅かに引っかかる面があったのは事実です。
AudioNirvanaの場合、基本的に同じ構成で、16センチ~38センチまでラインナップがあり、しかもそれぞれの口径毎に、アルニコ、ネオジウム、フェライトと三種類の磁気回路が揃っているのですが、実はそれぞれ多少なりとも音質の傾向が異なるのです。
当然振動系の口径により振動板の剛性バランスを考えた設計がされているのでしょうが、基本的に同じ音色傾向に設定するために、振動系の材質そのものは基本的に共通だと思います。
そうなればそれぞれベストとされるバランスが生じてくるわけで、しかも磁気回路との兼ね合いも絡みますから、その傾向は似て異なる物となるのは当然です。
たとえばおなじAlnico磁気回路のAudioNirvanaのユニットを比較してみた場合、私がメインに使用していた16センチよりも、同じ磁気回路の20センチサイズの方が、緻密で繊細な傾向の音色になりやすい事からも、振動系の剛性バランスなどを含めた音への影響が、そのまま再生音の違いとなって感じられるのでしょう。
もちろんそれぞれの口径毎や磁気回路によって音質傾向に違いがあるものの、基本的な音色はAudioNirvana共通であり、明快で快活な音を聴かせてくれます。
さてそのような前置きはこの辺にして、いい加減ボロイP610はどうなの?
という話になりますね。
じつはエッジを直す前の事ですが、ダンボールスペシャルでAudioNirvanaを鳴らしている頃に、約80リットルのダンボール箱で、ボロボロのP610も鳴らしていたのです。
実はこの時、ただならぬものを感じていたのは確かです。
特にアコーステック楽器の質感表現が極めて高く、当然人の声の表現力も正確無比に近いほどの表現力を示していたのは確かです。
近年では圧倒的にポテンシャルが高いと感じていたAudio Nirvana 'Super 6.5 ALNICOも、まだ十分に慣らしこんでいる状態ではないものの、さすがにここまでは表現しきっていませんでした。
おそらく20センチサイズの方が、そのあたりは容易に表現しやすいかもしれませんけど、基本的に人の声の再生を中心に開発されたP610初期型は、ALTECのパンケーキのように、きわめて高い質感表現力を持ち合わせているようです。
これは私がマクソニックのウーハーを手に入れたばかりの頃の話になるのですが、当時の私は画像にあるボロイP610以外に、D130を手放すきっかけとなった、リサイクルショップで手に入れた、古い初期型の8オームバージョンも所有していました。
その頃私の部屋に頻繁に出入りする後輩がいたのです。
その後輩とは主にバイクが共通の趣味で、いつもバイク談義に花を咲かせていたのです。
しかし、ある日の事。
その後輩が帰宅途中で、確認せずに道路へ飛び出してきた女性の運転する車にぶつけられ、バイクは全損で廃車。
後輩も指の骨を折る怪我をしてしまいました。
そこでその後輩が、しばらくバイクに乗れないので、その穴埋めにオーディオをはじめると言い出したのです。
それまでオーディオのオの字も知らないまったくの素人でしたが、取りあえず2A3のシングルアンプと、当時売られていたP610後期型のアルニコモデルで自作する事を薦めたのです。
そんな経緯を持つ後輩が、怪我から約1年後の頃、私の部屋を訪ねて来て、
「先輩!P610の初期型一組譲ってください!!」
と、現金を握り締めてやってきたのです。
もう既に手持ちの後期型のP610は友人に売却済みとの事で、鳴らす物がないという理由を付けて私の部屋を訪れたのです。
話を聞くと、P610の後期型は非常にすばらしい音を奏でるものの、どうしても初期型のような高い質感が出なくて気になっていたとの事です。
そこで初期型を2組所有していた私のところへ、背水の陣で尋ねてきたというわけです。
P610を長年お使いになられているマニアの方の中にもお気付きの方もいると思いますが、デジタル化時代に焦点をあわせて生まれ変わったP610の後期型ですけど、スペック的には確かに大きく改善されていたはずなのですが、音の質感表現など、何か大切な物をどこかへ置き去りにしてしまったようです。
そのあたりをオーディオに対する先入観がまったくない、オーディオ初心者であった後輩も気付いていたらしく、私のところで何度も前期型を聞いていた事もあり、我慢できなくなったようでした。
と話がかなり逸れてしまいましたので今回はここまで。
次回はボロイP610前記型のエッジを、天然皮革のセーム革に張り替えたお話をしていきたいと思います。
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2013/04/04 00:05 |
P610 再考 その5 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
まだ未完成とはいえ、どうにか新ホームページを刷新する事ができました。
リンク切れや未掲載部分、製作途中のページもまだまだたくさんありますが、今後もさらに掲載予定の製品もたくさんございますので、随時少しずつ更新していきますので、長い目で見てくださいませ。
さてそのようなわけで、しばらくブログ記事の更新をサボってしまいましたので、引き続き前回からの話の続きをしていきたいと思います。
前回まではP610の魅力などを中心にお話をしてきましたが、今回はうちのボロイP610のエッジ張替えなどに関してお話をしていきたいと思います。
ご覧のとおりエッジが完全に崩れ去り、見るも無残な状態でした。
当然振動板もフラフラしてしまい、ボイスタッチも起こしてしまうため、まともに聴くことさえできません。
そこでエッジの張替えをしようと思い立ったのです。
P610のエッジは、私が所有する前期型はもちろんですけど、後期型にしてもやはりエッジがやられてしまっているユニットはかなり多いと思います。
16センチの小さいユニットですから、ちょっとした工作程度でエッジの張替えも可能ですから、今回はエッジの張替えのお話をしていきたいと思います。
P610の張り替え用のエッジというのも市販品としてもありますけど、家の中にあるものでどうにか対応できないものかと物色していたところ、100円ショップで以前買ったポリエステル100%のフェルトと、天然皮革のセーム革がありました。
本当はオリジナルの再生を目指すのなら、同じようなスポンジを用意するのがベストですけど、今回は横着して手持ちの材料を使って張替えをしてみることにしたのです。
とりあえず厚紙を当てて、模りをしておきます。
そこで双方の材質を比較してみると、ポリエステル100%のフェルトの方が質量的に軽いようでしたから、まずはそちらを張ってみました。
早速エンクロージャーへ取り付けて、試聴してみました。
今までは同じエンクロージャーにAudioNirvanaの16センチAinicoが付けられていましたから、そちらとの比較という意味でも興味のあるところです。
取り付け穴寸法はほぼ共通なのですけど、ねじ穴のピッチが異なるためそのままでは取り付けができませんから、少し角度を変えて取り付けてみました。
さて久しぶりの試聴開始。
となるのですが、実はエッジを張り替える以前にも、一時ダンボールスペシャルで簡単に試聴をしていたのです。
さすがにこの時は万全でもないし、しかもオーディオマニアが一蹴してしまうほど惨たらしいダンボールスペシャルですから、まともな結果を期待できないのも事実ですけど、でもこの時P610前期型のただならぬポテンシャルの高さの片鱗を感じてはいたのです。
そのような事もあって今回のP610復活劇に繋がって入るのですけど、一番の目的は、私の求める音の原点ともいえるP610前期型の再確認に意味合いも強いものでもあります。
という事で音はどうなの?
いい音するの?
音悪いの?
そんなボロでまともな音するわけないでしょう。
~ん~ん
という事で今回はここまで。
詳しい試聴結果に関しては、また次回お話をしていきたいと思います。
2013/04/01 01:59 |
新ホームページ公開 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
寒い寒いと話しているうち、あっという間に桜の季節となりました。
以前から話の途中でホームページのリニューアルのお話をしてきましたが、悪戦苦闘していてなかなか公開できませんでしたが、一部掲載済みのページなどが完成しましたので、4月度という事で公開します。
新しく取り扱いを始めたブランドもございますので、ご覧いただければ幸いです。
また新たに取り扱いを始めたブランドの製品などに関しましても、ブログなどでその詳細に関してご紹介していきますのでお楽しみに。
2013/03/07 22:09 |
P610 再考 その4 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
さてここ最近はP610に関する話題を続けてきましたが、今回も飽きずにP610関連のお話をしようと思います。
P610といっても大きく分けると、皆さんご存知のように前期型、後期型、そして復刻再生産型となるかと思います。
そしてこの3モデルはどれもP610に違いはありませんが、まったく同じものというわけではなく、意外とキャラクターの違いを見せる面があります。
私がはじめて手に入れたP610は前期型の8Ωのタイプで、そりゃ見た目の安っぽさといったら、当時流行のデジタル対応を合言葉にした新素材見本市のような華等ありません。
振動板も紙を主張した外観だし、真ん中の磁石が丸見えの鉄ヨークの磁気回路だし、プレスでガチャンと打ち抜いたフレームだし、おまけにカタログスペックは見るも無残で、入力3Wなんてありえないとさえ思ったほどです。
それに比べれば、後期型は将来のデジタル時代を見据えた仕様となり、カタログデーターも改善されています。
最終再生産版は基本スペックは後期型をベースに、P610のアキレス腱であるエッジに手が加えられ、外観上の陳腐さも多少改善されました。
前期型と後期型に関しては前にお話もしてきたので、今回は最終再生産版に関してお話を進めて生きたいと思います。
最終型に関しては、私が試聴したのはDIATONE純正のエンクロージジャー仕様のもので、ユニット単体で聴いた事はないのですが、この最終モデルは前期型に比べるとかなりキャラクターが変わったように感じました。
もちろん出てくる音はP610に共通するものに違いはないのですけど、おそらくこれはエンクロージャーの影響が大きいからなのかもしれません。
さすがにメーカー純正箱だけあって、非常にバランスがよくまとめられてはいるものの、ゾクゾクするような躍動感も形を潜めてしまったようで、表情や表現力もやや控えめな感じがしました。
ユニットから出ている音自体はP610の基本的なキャラクターに違いはないのですけど、前期型が最も得意とする人の声やアコーステック楽器の音の質感や表現力、初期初動のよさや緻密なまでの解像力などには今ひとつ物足りなさを感じます。
ただすべてが悪い事ばかりではなく、近年の録音ソースなどを聴く場合、非常にバランスもよく楽しめる音として表現されますので、これを前期型で聞いてしまうとちょっと白けた印象が気になってしまいますから、悪い意味で言えばある程度適当に誤魔化してしまう鳴り方ですが、よい意味で言えば音楽に華を添えるような鳴り方といえるでしょうか。
多分この最終型も、音楽ソースで音をチューニングしてきたのかもしれません。
とはいえ、後期型も最終型もなんだかんだ言ってもP610には変わりがなく、そのポテンシャルは非常に高いものがあります。
これは基本設計がそれだけ優れている証でもあり、出ては消え去る一過性のユニットとはやはり次元の違いを見せ付けられますね。
前にも何度か話したように、私はアンプやスピーカーやケーブルなどを選択する際の基本として、家族や知人友人など、普段聴き慣れている声を判断材料にする事を話したと思います。
たとえばお気に入りの愛聴盤など音楽ソースで判断するのもありなのですが、元の音源がどのようなものかはまったくわからず、基本的にレコーディングの録音スタッフの意図する音がどのようなものかなどうかがい知れないわけですから、うまく組み合わせが成功して好みの音を得る事ができても、結果的に何でそうなったのかを知らないという事もあります。
もちろんオーディオ装置は音楽を聴いて楽しむものですから、音楽ソースを判断材料におくのは正しい事です。
中には音楽を聴くことよりも、出てくる音の出方や音色だけで判断される方もいますが、もちろんオーディオの楽しみ方は千差万別ですから、これだって間違いではありません。
話を戻しますけど、人の声を正しく正確に再生できるには、微細で繊細な入力にも敏感に反応しなければなりませんし、一方誇張や強調などないように音を出さなければなりません。
そのためには強力な磁気回路が必要ですが、アルニコ、フェライト、ネオジウム、励磁型などによっても音の違いもありますし、振動板の剛性と内部損失などバランスも重要ですし、フレームの共振やエンクロージャーの影響など、その影響は多岐にわたるものです。
そのような意味では、この人の声を正確に再生させるのは意外と難しいものです。
P610シリーズも人の声の再生をしてみると、意外とそのキャラクターの違いが浮き彫りになります。
音楽を聴いていても気付き難いその違いも、人の声の場合誤魔化しが難しいのです。
歴代の名機といわれるスピーカーユニットを聴いてみると、この人の声の再生能力が非常に高いものが多く存在します。
AudioNirvanaのユニットも、人の声の再生能力は近年のユニットの中では非常に高いレベルで、総合的なパフォーマンスでいえば、P610の後期型や最終版を凌駕する一面もあります。
しかし相手がP610の前期型だと、やはり格の違いを多少感じてしまいます。
特定の音楽再生だけではP610凌駕するスピーカーなど数多く存在するものですが、きめ細かい質感表現や解像力など、未だにP610は高水準に位置しているものです。
もちろんオーディオは趣味の世界ですから、好きな音楽を好きな音で楽しめるのが一番なわけですので、卓上スピーカーで楽しもうと、見た目の凄い巨大なマルチシステムで楽しもうと、オーディオの世界に間違いはないのです。
ただ自分の立つ位置を確かめる基準のひとつとして、P610はとても良い道標でもあります。
と、P610の話をしているとキリがありませんが、私のところのボロいP610の前期型も、エッジを張り替えて現在復活してますので、次回はそのあたりのお話しをしたいと思います。
サムライジャパンでございます。
さてここ最近はP610に関する話題を続けてきましたが、今回も飽きずにP610関連のお話をしようと思います。
P610といっても大きく分けると、皆さんご存知のように前期型、後期型、そして復刻再生産型となるかと思います。
そしてこの3モデルはどれもP610に違いはありませんが、まったく同じものというわけではなく、意外とキャラクターの違いを見せる面があります。
私がはじめて手に入れたP610は前期型の8Ωのタイプで、そりゃ見た目の安っぽさといったら、当時流行のデジタル対応を合言葉にした新素材見本市のような華等ありません。
振動板も紙を主張した外観だし、真ん中の磁石が丸見えの鉄ヨークの磁気回路だし、プレスでガチャンと打ち抜いたフレームだし、おまけにカタログスペックは見るも無残で、入力3Wなんてありえないとさえ思ったほどです。
それに比べれば、後期型は将来のデジタル時代を見据えた仕様となり、カタログデーターも改善されています。
最終再生産版は基本スペックは後期型をベースに、P610のアキレス腱であるエッジに手が加えられ、外観上の陳腐さも多少改善されました。
前期型と後期型に関しては前にお話もしてきたので、今回は最終再生産版に関してお話を進めて生きたいと思います。
最終型に関しては、私が試聴したのはDIATONE純正のエンクロージジャー仕様のもので、ユニット単体で聴いた事はないのですが、この最終モデルは前期型に比べるとかなりキャラクターが変わったように感じました。
もちろん出てくる音はP610に共通するものに違いはないのですけど、おそらくこれはエンクロージャーの影響が大きいからなのかもしれません。
さすがにメーカー純正箱だけあって、非常にバランスがよくまとめられてはいるものの、ゾクゾクするような躍動感も形を潜めてしまったようで、表情や表現力もやや控えめな感じがしました。
ユニットから出ている音自体はP610の基本的なキャラクターに違いはないのですけど、前期型が最も得意とする人の声やアコーステック楽器の音の質感や表現力、初期初動のよさや緻密なまでの解像力などには今ひとつ物足りなさを感じます。
ただすべてが悪い事ばかりではなく、近年の録音ソースなどを聴く場合、非常にバランスもよく楽しめる音として表現されますので、これを前期型で聞いてしまうとちょっと白けた印象が気になってしまいますから、悪い意味で言えばある程度適当に誤魔化してしまう鳴り方ですが、よい意味で言えば音楽に華を添えるような鳴り方といえるでしょうか。
多分この最終型も、音楽ソースで音をチューニングしてきたのかもしれません。
とはいえ、後期型も最終型もなんだかんだ言ってもP610には変わりがなく、そのポテンシャルは非常に高いものがあります。
これは基本設計がそれだけ優れている証でもあり、出ては消え去る一過性のユニットとはやはり次元の違いを見せ付けられますね。
前にも何度か話したように、私はアンプやスピーカーやケーブルなどを選択する際の基本として、家族や知人友人など、普段聴き慣れている声を判断材料にする事を話したと思います。
たとえばお気に入りの愛聴盤など音楽ソースで判断するのもありなのですが、元の音源がどのようなものかはまったくわからず、基本的にレコーディングの録音スタッフの意図する音がどのようなものかなどうかがい知れないわけですから、うまく組み合わせが成功して好みの音を得る事ができても、結果的に何でそうなったのかを知らないという事もあります。
もちろんオーディオ装置は音楽を聴いて楽しむものですから、音楽ソースを判断材料におくのは正しい事です。
中には音楽を聴くことよりも、出てくる音の出方や音色だけで判断される方もいますが、もちろんオーディオの楽しみ方は千差万別ですから、これだって間違いではありません。
話を戻しますけど、人の声を正しく正確に再生できるには、微細で繊細な入力にも敏感に反応しなければなりませんし、一方誇張や強調などないように音を出さなければなりません。
そのためには強力な磁気回路が必要ですが、アルニコ、フェライト、ネオジウム、励磁型などによっても音の違いもありますし、振動板の剛性と内部損失などバランスも重要ですし、フレームの共振やエンクロージャーの影響など、その影響は多岐にわたるものです。
そのような意味では、この人の声を正確に再生させるのは意外と難しいものです。
P610シリーズも人の声の再生をしてみると、意外とそのキャラクターの違いが浮き彫りになります。
音楽を聴いていても気付き難いその違いも、人の声の場合誤魔化しが難しいのです。
歴代の名機といわれるスピーカーユニットを聴いてみると、この人の声の再生能力が非常に高いものが多く存在します。
AudioNirvanaのユニットも、人の声の再生能力は近年のユニットの中では非常に高いレベルで、総合的なパフォーマンスでいえば、P610の後期型や最終版を凌駕する一面もあります。
しかし相手がP610の前期型だと、やはり格の違いを多少感じてしまいます。
特定の音楽再生だけではP610凌駕するスピーカーなど数多く存在するものですが、きめ細かい質感表現や解像力など、未だにP610は高水準に位置しているものです。
もちろんオーディオは趣味の世界ですから、好きな音楽を好きな音で楽しめるのが一番なわけですので、卓上スピーカーで楽しもうと、見た目の凄い巨大なマルチシステムで楽しもうと、オーディオの世界に間違いはないのです。
ただ自分の立つ位置を確かめる基準のひとつとして、P610はとても良い道標でもあります。
と、P610の話をしているとキリがありませんが、私のところのボロいP610の前期型も、エッジを張り替えて現在復活してますので、次回はそのあたりのお話しをしたいと思います。
2013/03/04 09:33 |
P610 再考 その3 |
みなさんこんにちは。
サムライジャパンでございます。
さて前回のブログでは、P610前期型を手に入れ、その格の違いを目の当たりにしたというお話をしました。
しかし私がP610の前期型を手に入れた当時は既に後期型が販売されていた頃で、再生周波数レンジを拡大し、対入力も向上させるなど、将来訪れるデジタル時代へ対応させるために大幅な改良がされていました。
当時オーディオをはじめてまだ2年にもなっていない頃でしたから、古いやつより大幅に改良された新型のほうが絶対良いに決まっていると、聴きもしないで信じていたくらいなのです。
それだけに手に入れたP610が前期型と知ったとき、結構落ち込んだのを思い出します。
そんな余談はさておき、そろそろP610の前期型と後期型についてお話をしていきたいと思います。
手に入れた当初こそ落ち込んだりもしたのですけど、その後何度も聞き比べをしましたが、JBLのD130ほどの大差はありませんでしたが、やはり後期型に比べても格の違いを見せつけられたのです。
音の違いをどのように感じたのかを言葉で表現するのは少し難しいので、多少抽象的なお話をしていきます。
たとえば強い剣客がいたとしましょう。
P610の前期型を表現すれば、体が小さく力も特別強いわけでもなく、どこか線が細い面を見せるものの、上へ下へ、右へ左へと縦横無尽に飛び回る牛和歌丸みたいなイメージです。
一方P610後期型は、同じ強さでも大きな長刀をぶんぶん振り回せる、さしずめ弁慶といったイメージでしょうか。
もちろんどちらもP610の音に変わりはないのですが、でも前期型と後期型の音の差は、意外と小さいものではなかったのです。
前期型の場合人の声の再生などの表現力や質感は非常に高く、古い時代に録音されたジャズなどの音源の質感表現も非常に高いものです。
それが同じP610の改良版である後期型で聴くと、確かにどことなく力強さは感じるものの緻密さや繊細な感じがなりを潜め、人というよりアンドロイド的な声質に感じ一面もあり、古めの録音ソースなども、どこか空気感などの繊細な表現がなりを潜めてしまい、それが楽器などの音の質感表現にも影響している感じです。
後期型の場合、低域の量感や力強さは前期型を凌駕していますけど、前期型が持っていた低域の音階を感じるような空気の響きも感じにくい面があります。
そういっても、後期型のポテンシャル自体は非常に高いものがありますので、使いこなしの面で多少その差も縮まるかもしれません。
ところでどうして同じP610でありながら、後期型は前期型が持っていた良さをスポイルしてまで、このようなな変化を遂げてしまったのでしょうか。
当時の時代背景を思い出すと、ちょうどデジタル時代の幕開けで、オーディオ装置も大きな転換期に差し掛かった頃です。
実際私がオーディをはじめた頃の憧れは、理由は知らないけどスピーカーといえばDIATONEというのは聞いていましたから、こんなのを買って自信満々に鳴らすことを目標にしていたものです。
新しいもの好きな心を刺激する新素材見本市のような最新素材で構成されたシステム。
そしてカタログのキャッチコピーに書かれたデジタル対応という真新しい言葉。
もうビンビンくるようなシステムのはずです。
世の中がそのような風潮でしたから、当然P610にもテコ入れが行われたのでしょう。
どのように音決めをしたり、開発状況がどうだったのかはわかりませんけど、前期型の場合は、人の声を明瞭かつ正確に表現する事が重要だったのでしょうけど、後期型はデジタル時代に対応というコンセプトもあったようですから、基本的に当時の音楽ソースを基準に音作りをしたのかもしれません。
実際その頃のアイドルもののレコードを聴くと、前期型はあれやこれやとミキサーで音をいじり倒している様子が聞き取れるのですが、後期型は意外とその辺はそれほど気になり難く、それなりに楽しめてしまうものです。
もしかしたら音楽ソースを基準に音決めなども行われたのかもしれません。
もちろんオーディオ装置の目的は音楽を聴く事ですから、音楽ソースを聴いて音の良し悪しを決めることがほとんどです。
皆さんもここ一発の愛聴盤を持っていて、それで音の良し悪しを判断されていると思います。
しかし、前のブログでも書いたように、ALTECの音の良さの秘密に人の声の再生の正確さがあるのではないかという話をしたように、P610に関しても同じなのかもしれません。
たとえばP610を鳴らすまで私が入れ込んで聴いていたJBLのD130ですが、音楽を聴いているときはそれなりに魅力的に音楽を楽しめましたが、いざ人の声を聴いてみると、パァッとした印象の声に聞こえます。
原音を忠実に再現するというより、独自の音色と印象的な雰囲気を意図的に作り出しているようです。
これはおそらく音楽を再生させて、それで音作りをされた結果なのかもしれません。
そのためジャズ向きとかクラッシク向きとか、このようなジャンルの傾向が偏りやすいスピーカーが生まれてきたのかもしれませんね。
そのような意味で考えてみるとP610の後期型も、人の声を中心としたものではなく、音楽を再生させて音作りをされたのではないかと憶測も生まれてきます。
P610の前期型が生まれた頃は、ちょうどNHKのモニターとして2S-208や2S305なども生まれた頃と同時期ですから、その辺りに音の秘密もありそうですね。
オーディオをはじめた当時、これらのモニターシステムは、値段は高くてデザインは古臭く、カタログデーターの周波数帯域など見るも無残なスペックで、何でこんなもの売っているのかが不思議に思えたものでしたけど、実際その頃に発売されたP610の前期型の音を聞いて、実際にそのすごさを実感してみて、カタログデーターも新素材も何の意味も成さないものでしかなく、ましてや新しいからといって必ず進化してばかりいるわけではないのは、このP610を聴いてみて教えられたようなものです。
もちろんP610の後期型が悪いわけではなく、前期型に比べれば音楽ソースによる影響差が少ない分、音楽ジャンルへの対応幅も広くなるので、よりオールマイティーな一面もあります。
それより何より、新素材のへんてこなフルレンジなどよりはるかに自然な音が楽しめるし、近年流行の、コンパクトな少容量エンクロージャーでもワイドレンジ再生が可能な、低能率ユニットなんかに比べれば遥かに生き生きとした音楽も聴けますので、前期型と多少のキャラクターの違いがあっても、後期型も十分魅力的なユニットに違いがありません。
しかし前期型も同様ですが、後期型も生産終了からかなり年月が経過したものも多く、既にエッジが完全にやられてしまったユニットも数多くあります。
DIATONEの最終生産版は、そのあたりも改良されていましたけど、これも歴代のP610キャラクターでありながら、これもわずかに音の違いがありました。
と話しているときりがないので今回はここまで。
また次回楽しいお話をしたいと思います。
サムライジャパンでございます。
さて前回のブログでは、P610前期型を手に入れ、その格の違いを目の当たりにしたというお話をしました。
しかし私がP610の前期型を手に入れた当時は既に後期型が販売されていた頃で、再生周波数レンジを拡大し、対入力も向上させるなど、将来訪れるデジタル時代へ対応させるために大幅な改良がされていました。
当時オーディオをはじめてまだ2年にもなっていない頃でしたから、古いやつより大幅に改良された新型のほうが絶対良いに決まっていると、聴きもしないで信じていたくらいなのです。
それだけに手に入れたP610が前期型と知ったとき、結構落ち込んだのを思い出します。
そんな余談はさておき、そろそろP610の前期型と後期型についてお話をしていきたいと思います。
手に入れた当初こそ落ち込んだりもしたのですけど、その後何度も聞き比べをしましたが、JBLのD130ほどの大差はありませんでしたが、やはり後期型に比べても格の違いを見せつけられたのです。
音の違いをどのように感じたのかを言葉で表現するのは少し難しいので、多少抽象的なお話をしていきます。
たとえば強い剣客がいたとしましょう。
P610の前期型を表現すれば、体が小さく力も特別強いわけでもなく、どこか線が細い面を見せるものの、上へ下へ、右へ左へと縦横無尽に飛び回る牛和歌丸みたいなイメージです。
一方P610後期型は、同じ強さでも大きな長刀をぶんぶん振り回せる、さしずめ弁慶といったイメージでしょうか。
もちろんどちらもP610の音に変わりはないのですが、でも前期型と後期型の音の差は、意外と小さいものではなかったのです。
前期型の場合人の声の再生などの表現力や質感は非常に高く、古い時代に録音されたジャズなどの音源の質感表現も非常に高いものです。
それが同じP610の改良版である後期型で聴くと、確かにどことなく力強さは感じるものの緻密さや繊細な感じがなりを潜め、人というよりアンドロイド的な声質に感じ一面もあり、古めの録音ソースなども、どこか空気感などの繊細な表現がなりを潜めてしまい、それが楽器などの音の質感表現にも影響している感じです。
後期型の場合、低域の量感や力強さは前期型を凌駕していますけど、前期型が持っていた低域の音階を感じるような空気の響きも感じにくい面があります。
そういっても、後期型のポテンシャル自体は非常に高いものがありますので、使いこなしの面で多少その差も縮まるかもしれません。
ところでどうして同じP610でありながら、後期型は前期型が持っていた良さをスポイルしてまで、このようなな変化を遂げてしまったのでしょうか。
当時の時代背景を思い出すと、ちょうどデジタル時代の幕開けで、オーディオ装置も大きな転換期に差し掛かった頃です。
実際私がオーディをはじめた頃の憧れは、理由は知らないけどスピーカーといえばDIATONEというのは聞いていましたから、こんなのを買って自信満々に鳴らすことを目標にしていたものです。
新しいもの好きな心を刺激する新素材見本市のような最新素材で構成されたシステム。
そしてカタログのキャッチコピーに書かれたデジタル対応という真新しい言葉。
もうビンビンくるようなシステムのはずです。
世の中がそのような風潮でしたから、当然P610にもテコ入れが行われたのでしょう。
どのように音決めをしたり、開発状況がどうだったのかはわかりませんけど、前期型の場合は、人の声を明瞭かつ正確に表現する事が重要だったのでしょうけど、後期型はデジタル時代に対応というコンセプトもあったようですから、基本的に当時の音楽ソースを基準に音作りをしたのかもしれません。
実際その頃のアイドルもののレコードを聴くと、前期型はあれやこれやとミキサーで音をいじり倒している様子が聞き取れるのですが、後期型は意外とその辺はそれほど気になり難く、それなりに楽しめてしまうものです。
もしかしたら音楽ソースを基準に音決めなども行われたのかもしれません。
もちろんオーディオ装置の目的は音楽を聴く事ですから、音楽ソースを聴いて音の良し悪しを決めることがほとんどです。
皆さんもここ一発の愛聴盤を持っていて、それで音の良し悪しを判断されていると思います。
しかし、前のブログでも書いたように、ALTECの音の良さの秘密に人の声の再生の正確さがあるのではないかという話をしたように、P610に関しても同じなのかもしれません。
たとえばP610を鳴らすまで私が入れ込んで聴いていたJBLのD130ですが、音楽を聴いているときはそれなりに魅力的に音楽を楽しめましたが、いざ人の声を聴いてみると、パァッとした印象の声に聞こえます。
原音を忠実に再現するというより、独自の音色と印象的な雰囲気を意図的に作り出しているようです。
これはおそらく音楽を再生させて、それで音作りをされた結果なのかもしれません。
そのためジャズ向きとかクラッシク向きとか、このようなジャンルの傾向が偏りやすいスピーカーが生まれてきたのかもしれませんね。
そのような意味で考えてみるとP610の後期型も、人の声を中心としたものではなく、音楽を再生させて音作りをされたのではないかと憶測も生まれてきます。
P610の前期型が生まれた頃は、ちょうどNHKのモニターとして2S-208や2S305なども生まれた頃と同時期ですから、その辺りに音の秘密もありそうですね。
オーディオをはじめた当時、これらのモニターシステムは、値段は高くてデザインは古臭く、カタログデーターの周波数帯域など見るも無残なスペックで、何でこんなもの売っているのかが不思議に思えたものでしたけど、実際その頃に発売されたP610の前期型の音を聞いて、実際にそのすごさを実感してみて、カタログデーターも新素材も何の意味も成さないものでしかなく、ましてや新しいからといって必ず進化してばかりいるわけではないのは、このP610を聴いてみて教えられたようなものです。
もちろんP610の後期型が悪いわけではなく、前期型に比べれば音楽ソースによる影響差が少ない分、音楽ジャンルへの対応幅も広くなるので、よりオールマイティーな一面もあります。
それより何より、新素材のへんてこなフルレンジなどよりはるかに自然な音が楽しめるし、近年流行の、コンパクトな少容量エンクロージャーでもワイドレンジ再生が可能な、低能率ユニットなんかに比べれば遥かに生き生きとした音楽も聴けますので、前期型と多少のキャラクターの違いがあっても、後期型も十分魅力的なユニットに違いがありません。
しかし前期型も同様ですが、後期型も生産終了からかなり年月が経過したものも多く、既にエッジが完全にやられてしまったユニットも数多くあります。
DIATONEの最終生産版は、そのあたりも改良されていましたけど、これも歴代のP610キャラクターでありながら、これもわずかに音の違いがありました。
と話しているときりがないので今回はここまで。
また次回楽しいお話をしたいと思います。