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サムライジャパン ブログ

サムライジャパン オーディオ関連を中心にしたブログです。
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2024/05/20
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2013/03/07
22:09
P610 再考 その4

みなさんこんにちは。


サムライジャパンでございます。



さてここ最近はP610に関する話題を続けてきましたが、今回も飽きずにP610関連のお話をしようと思います。


P610といっても大きく分けると、皆さんご存知のように前期型、後期型、そして復刻再生産型となるかと思います。


そしてこの3モデルはどれもP610に違いはありませんが、まったく同じものというわけではなく、意外とキャラクターの違いを見せる面があります。


私がはじめて手に入れたP610は前期型の8Ωのタイプで、そりゃ見た目の安っぽさといったら、当時流行のデジタル対応を合言葉にした新素材見本市のような華等ありません。


振動板も紙を主張した外観だし、真ん中の磁石が丸見えの鉄ヨークの磁気回路だし、プレスでガチャンと打ち抜いたフレームだし、おまけにカタログスペックは見るも無残で、入力3Wなんてありえないとさえ思ったほどです。


それに比べれば、後期型は将来のデジタル時代を見据えた仕様となり、カタログデーターも改善されています。


最終再生産版は基本スペックは後期型をベースに、P610のアキレス腱であるエッジに手が加えられ、外観上の陳腐さも多少改善されました。


前期型と後期型に関しては前にお話もしてきたので、今回は最終再生産版に関してお話を進めて生きたいと思います。

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最終型に関しては、私が試聴したのはDIATONE純正のエンクロージジャー仕様のもので、ユニット単体で聴いた事はないのですが、この最終モデルは前期型に比べるとかなりキャラクターが変わったように感じました。


もちろん出てくる音はP610に共通するものに違いはないのですけど、おそらくこれはエンクロージャーの影響が大きいからなのかもしれません。



さすがにメーカー純正箱だけあって、非常にバランスがよくまとめられてはいるものの、ゾクゾクするような躍動感も形を潜めてしまったようで、表情や表現力もやや控えめな感じがしました。



ユニットから出ている音自体はP610の基本的なキャラクターに違いはないのですけど、前期型が最も得意とする人の声やアコーステック楽器の音の質感や表現力、初期初動のよさや緻密なまでの解像力などには今ひとつ物足りなさを感じます。


ただすべてが悪い事ばかりではなく、近年の録音ソースなどを聴く場合、非常にバランスもよく楽しめる音として表現されますので、これを前期型で聞いてしまうとちょっと白けた印象が気になってしまいますから、悪い意味で言えばある程度適当に誤魔化してしまう鳴り方ですが、よい意味で言えば音楽に華を添えるような鳴り方といえるでしょうか。



多分この最終型も、音楽ソースで音をチューニングしてきたのかもしれません。


とはいえ、後期型も最終型もなんだかんだ言ってもP610には変わりがなく、そのポテンシャルは非常に高いものがあります。


これは基本設計がそれだけ優れている証でもあり、出ては消え去る一過性のユニットとはやはり次元の違いを見せ付けられますね。



前にも何度か話したように、私はアンプやスピーカーやケーブルなどを選択する際の基本として、家族や知人友人など、普段聴き慣れている声を判断材料にする事を話したと思います。



たとえばお気に入りの愛聴盤など音楽ソースで判断するのもありなのですが、元の音源がどのようなものかはまったくわからず、基本的にレコーディングの録音スタッフの意図する音がどのようなものかなどうかがい知れないわけですから、うまく組み合わせが成功して好みの音を得る事ができても、結果的に何でそうなったのかを知らないという事もあります。


もちろんオーディオ装置は音楽を聴いて楽しむものですから、音楽ソースを判断材料におくのは正しい事です。


中には音楽を聴くことよりも、出てくる音の出方や音色だけで判断される方もいますが、もちろんオーディオの楽しみ方は千差万別ですから、これだって間違いではありません。



話を戻しますけど、人の声を正しく正確に再生できるには、微細で繊細な入力にも敏感に反応しなければなりませんし、一方誇張や強調などないように音を出さなければなりません。


そのためには強力な磁気回路が必要ですが、アルニコ、フェライト、ネオジウム、励磁型などによっても音の違いもありますし、振動板の剛性と内部損失などバランスも重要ですし、フレームの共振やエンクロージャーの影響など、その影響は多岐にわたるものです。


そのような意味では、この人の声を正確に再生させるのは意外と難しいものです。



P610シリーズも人の声の再生をしてみると、意外とそのキャラクターの違いが浮き彫りになります。


音楽を聴いていても気付き難いその違いも、人の声の場合誤魔化しが難しいのです。


歴代の名機といわれるスピーカーユニットを聴いてみると、この人の声の再生能力が非常に高いものが多く存在します。


AudioNirvanaのユニットも、人の声の再生能力は近年のユニットの中では非常に高いレベルで、総合的なパフォーマンスでいえば、P610の後期型や最終版を凌駕する一面もあります。


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しかし相手がP610の前期型だと、やはり格の違いを多少感じてしまいます。




特定の音楽再生だけではP610凌駕するスピーカーなど数多く存在するものですが、きめ細かい質感表現や解像力など、未だにP610は高水準に位置しているものです。


もちろんオーディオは趣味の世界ですから、好きな音楽を好きな音で楽しめるのが一番なわけですので、卓上スピーカーで楽しもうと、見た目の凄い巨大なマルチシステムで楽しもうと、オーディオの世界に間違いはないのです。


ただ自分の立つ位置を確かめる基準のひとつとして、P610はとても良い道標でもあります。




と、P610の話をしているとキリがありませんが、私のところのボロいP610の前期型も、エッジを張り替えて現在復活してますので、次回はそのあたりのお話しをしたいと思います。


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2013/03/04
09:33
P610 再考 その3

みなさんこんにちは。


サムライジャパンでございます。



さて前回のブログでは、P610前期型を手に入れ、その格の違いを目の当たりにしたというお話をしました。


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しかし私がP610の前期型を手に入れた当時は既に後期型が販売されていた頃で、再生周波数レンジを拡大し、対入力も向上させるなど、将来訪れるデジタル時代へ対応させるために大幅な改良がされていました。

p-610da_20130301221746.jpg


当時オーディオをはじめてまだ2年にもなっていない頃でしたから、古いやつより大幅に改良された新型のほうが絶対良いに決まっていると、聴きもしないで信じていたくらいなのです。


それだけに手に入れたP610が前期型と知ったとき、結構落ち込んだのを思い出します。


そんな余談はさておき、そろそろP610の前期型と後期型についてお話をしていきたいと思います。


手に入れた当初こそ落ち込んだりもしたのですけど、その後何度も聞き比べをしましたが、JBLのD130ほどの大差はありませんでしたが、やはり後期型に比べても格の違いを見せつけられたのです。


音の違いをどのように感じたのかを言葉で表現するのは少し難しいので、多少抽象的なお話をしていきます。



たとえば強い剣客がいたとしましょう。


P610の前期型を表現すれば、体が小さく力も特別強いわけでもなく、どこか線が細い面を見せるものの、上へ下へ、右へ左へと縦横無尽に飛び回る牛和歌丸みたいなイメージです。


一方P610後期型は、同じ強さでも大きな長刀をぶんぶん振り回せる、さしずめ弁慶といったイメージでしょうか。



もちろんどちらもP610の音に変わりはないのですが、でも前期型と後期型の音の差は、意外と小さいものではなかったのです。



前期型の場合人の声の再生などの表現力や質感は非常に高く、古い時代に録音されたジャズなどの音源の質感表現も非常に高いものです。


それが同じP610の改良版である後期型で聴くと、確かにどことなく力強さは感じるものの緻密さや繊細な感じがなりを潜め、人というよりアンドロイド的な声質に感じ一面もあり、古めの録音ソースなども、どこか空気感などの繊細な表現がなりを潜めてしまい、それが楽器などの音の質感表現にも影響している感じです。


後期型の場合、低域の量感や力強さは前期型を凌駕していますけど、前期型が持っていた低域の音階を感じるような空気の響きも感じにくい面があります。


そういっても、後期型のポテンシャル自体は非常に高いものがありますので、使いこなしの面で多少その差も縮まるかもしれません。



ところでどうして同じP610でありながら、後期型は前期型が持っていた良さをスポイルしてまで、このようなな変化を遂げてしまったのでしょうか。



当時の時代背景を思い出すと、ちょうどデジタル時代の幕開けで、オーディオ装置も大きな転換期に差し掛かった頃です。



実際私がオーディをはじめた頃の憧れは、理由は知らないけどスピーカーといえばDIATONEというのは聞いていましたから、こんなのを買って自信満々に鳴らすことを目標にしていたものです。


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新しいもの好きな心を刺激する新素材見本市のような最新素材で構成されたシステム。


そしてカタログのキャッチコピーに書かれたデジタル対応という真新しい言葉。


もうビンビンくるようなシステムのはずです。



世の中がそのような風潮でしたから、当然P610にもテコ入れが行われたのでしょう。



どのように音決めをしたり、開発状況がどうだったのかはわかりませんけど、前期型の場合は、人の声を明瞭かつ正確に表現する事が重要だったのでしょうけど、後期型はデジタル時代に対応というコンセプトもあったようですから、基本的に当時の音楽ソースを基準に音作りをしたのかもしれません。


実際その頃のアイドルもののレコードを聴くと、前期型はあれやこれやとミキサーで音をいじり倒している様子が聞き取れるのですが、後期型は意外とその辺はそれほど気になり難く、それなりに楽しめてしまうものです。


もしかしたら音楽ソースを基準に音決めなども行われたのかもしれません。



もちろんオーディオ装置の目的は音楽を聴く事ですから、音楽ソースを聴いて音の良し悪しを決めることがほとんどです。


皆さんもここ一発の愛聴盤を持っていて、それで音の良し悪しを判断されていると思います。



しかし、前のブログでも書いたように、ALTECの音の良さの秘密に人の声の再生の正確さがあるのではないかという話をしたように、P610に関しても同じなのかもしれません。



たとえばP610を鳴らすまで私が入れ込んで聴いていたJBLのD130ですが、音楽を聴いているときはそれなりに魅力的に音楽を楽しめましたが、いざ人の声を聴いてみると、パァッとした印象の声に聞こえます。


原音を忠実に再現するというより、独自の音色と印象的な雰囲気を意図的に作り出しているようです。


これはおそらく音楽を再生させて、それで音作りをされた結果なのかもしれません。


そのためジャズ向きとかクラッシク向きとか、このようなジャンルの傾向が偏りやすいスピーカーが生まれてきたのかもしれませんね。


そのような意味で考えてみるとP610の後期型も、人の声を中心としたものではなく、音楽を再生させて音作りをされたのではないかと憶測も生まれてきます。



P610の前期型が生まれた頃は、ちょうどNHKのモニターとして2S-208や2S305なども生まれた頃と同時期ですから、その辺りに音の秘密もありそうですね。

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オーディオをはじめた当時、これらのモニターシステムは、値段は高くてデザインは古臭く、カタログデーターの周波数帯域など見るも無残なスペックで、何でこんなもの売っているのかが不思議に思えたものでしたけど、実際その頃に発売されたP610の前期型の音を聞いて、実際にそのすごさを実感してみて、カタログデーターも新素材も何の意味も成さないものでしかなく、ましてや新しいからといって必ず進化してばかりいるわけではないのは、このP610を聴いてみて教えられたようなものです。


もちろんP610の後期型が悪いわけではなく、前期型に比べれば音楽ソースによる影響差が少ない分、音楽ジャンルへの対応幅も広くなるので、よりオールマイティーな一面もあります。


それより何より、新素材のへんてこなフルレンジなどよりはるかに自然な音が楽しめるし、近年流行の、コンパクトな少容量エンクロージャーでもワイドレンジ再生が可能な、低能率ユニットなんかに比べれば遥かに生き生きとした音楽も聴けますので、前期型と多少のキャラクターの違いがあっても、後期型も十分魅力的なユニットに違いがありません。


しかし前期型も同様ですが、後期型も生産終了からかなり年月が経過したものも多く、既にエッジが完全にやられてしまったユニットも数多くあります。


DIATONEの最終生産版は、そのあたりも改良されていましたけど、これも歴代のP610キャラクターでありながら、これもわずかに音の違いがありました。

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と話しているときりがないので今回はここまで。



また次回楽しいお話をしたいと思います。


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2013/03/01
22:47
P610 再考 その2

みなさんこんにちは。


サムライジャパンでございます。


さて前回の話では、私がP610とどのような出会いであったかについてお話をしました。


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FMレコパルレベルから一気にJBL D130のバックロードホーンという世界へ足を踏み入れ、付属のJBL純正ネットワークがあまりのもひどかったので、そこからネットワーク自作の世界へと、右も左もわからないような若造でしたが、とにかく世界一のJBLにするんだという意気込みと情熱だけはあったようです。


当時JBLやALTECやTANNOYなどの有名メーカーの製品も、そのほとんどがフェライトマグネットモデルへ移行していた頃でしたが、私が手に入れたのはアルニコマグネット時代のものでしたから、なんだか知らないけどテンションがあがっていたのは間違いありません。


JBLのD130は、38センチクラスの大口径ユニットでしたけど、ウーハーなどではなくフルレンジユニットという事でしたが、正直どこがフルレンジなのかがわからないユニットでもありました。



それにバックロードホーンの上に075のトゥイーターという組み合わせも、見た目的にもあまり格好がいいわけではありませんでしたけど、なんだか知らないが泣く子も黙る世界の名ブランドJBLですから、そりゃ悪いはずなんて絶対あってはいけないのです。


・・・と自己暗示をかけて、いつか良くなるだろうとあれやこれやと手を加えていました。



だからなのか、とにかく良くしようと躍起になっていたのは確かでした。



それに予算があれば175のドライバーなんて繋いで、将来3ウエイにしようと毎日夢を見ていたのです。




それが、段ボール箱に発泡スチロールのバッフル板という、オーディオマニアなら卒倒するであろう酷い鳴らし方の外見に、見た目もボロイP610前期型を付けたものと、世界の名機のJBLを比較するなんて、健全なオーディオマニアの方であれば絶対にしない事です。


しかしなぜだかアコーステック楽器の音の質感が、どう聴いても良いはずのないP610の方が良く聞こえているのです。


これはきっとJBLをまだまだ使いこなしていないのだ!!!


気合と根性、努力と忍耐がまだまだ足りない。


そう何度も自分に言い聞かせていました。




そして翌日、以前私にP610を勧めていたオーディオ店に遊びに行って、事の経緯を話したのです。



何度聴いてもP610の方が良く聞こえてしまうので、私はJBLをまだまだ使いこなしていないのかもと話したところ、そりゃ当然ですよとあっさり。


何が当然かといえば、P610のポテンシャルを大型マルチシステムで再現しようとしても、それに見合う性能を誇るユニットはほんのわずかでしかなく、ましてやそれを超えるなんてそう容易い話ではないとの事でした。


そんな話信じるもんかと自分に言い聞かせようとしても、実際私の耳には圧倒的なポテンシャルの差が感じられていましたから、その帰りホームセンターへ立ち寄り、即行で平面バッフル用の板を買い込みました。


それがD130の脇へ立てかけられているやつです。





その当時私が手に入れたのはDIATONEのP610Bとい8オームのモデルでした。

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現在私が所有するのは2本目のやつで、それから半年後ぐらいにそれも中古で手に入れたものです。

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こちらはP610Aの16オーム仕様です。


さてその当時P610はすでにP610DA/DBと、後期型へモデルチェンジがなされたあとです。


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音楽ソースの多様化に伴い、対入力のアップと再生周波数帯域の拡大など、スペック上では高性能です。


このスペックだけ見れば、私が手に入れたのは古ぼけた前期型なわけですから、当然後期方の新型の方がすばらしいものだと考えていました。



そこで、先のオーディオ店で、P610の後期型はもっと音がいいのでしょうかと尋ねたところ、ブゥフッ!と笑われ、その古いP610大切に鳴らした方がいいですよと、これまたあっさり。


スペック上は優れているはずなのに、それに新しい方がより良く改良されているはずなのに、いったいどうして???


なんとも納得のいかない話です。


ただでさえ天下のJBLより良いはずがないのに、その上新しい新型よりもいいなんて、どうもこれが踏み入れてはいけない領域の入り口だったようです。



前期型と後期型の違いですが、音楽の聴き方のよっては後期型がいいという方もいると思いますし、絶対的に後期型が悪いという話ではありません。


それに名誉のために言っておきますけど、JBLのD130ですけど、けして嫌いなものではありませんし、とても魅力的なサウンドで、今でも懐かしく思い、聴いてみたくなるのも事実です。



ただ私の耳には、P610前期型の格の違いがどうしても気になってしまっただけのことです。


とまたまた話が長くなってしまったので、今回はここまで。



どうもp610関連の話をすると、止まらなくなってしまいます。


次回は前期型と後期型の違いなどを踏まえてお話をしたいと思います。


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2013/02/28
07:22
P610 再考 その1

みなさんこんにちは。


サムライジャパンでございます。


さて前回のブログでは、ALTEC系のユニットが好きな理由について簡単にお話したと同時に、その理由のひとつとして、人の声を再生させたときの正確さや、その質感の表現力の高さが、結果として音楽を再生させたときも絶妙な音色で奏でてくれるため、このような方向性を持ったユニットが私の好きなユニットでもあります。


そんな私のオーディオの方向性を決定的にしたのが、以前もお話したようにDIATONEのP610前期型との出会いだった事をお話したと思います。


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オーディオには興味はあったものの、元々それほど強い関心を寄せるものではありませんでしたが、オートバイで大怪我をして、しばらくの間オートバイに乗る事ができない状態だったため、その穴埋めにとオーディオをはじめたのがきっかけです。


それが泥沼?への入り口になるとは・・・



私がオーディオを始めた当時私は何の知識も情報もないので、とりあえずFMレコパルを買ってきて読んでいました。


その頃の各メーカーが力を入れていたのは、ハニカムコーンやカーボン張りのウーハーなど、新素材見本市のオンパレードでした。


そして30センチクラスの3ウエイスピーカーといえば、当時のFMレコパル愛読者にとっては憧れの世界です。


当然FMレコパルなんて読んでいた当時の馬鹿な私も例に漏れず、そんないい加減な洗脳にどっぷり浸かっていたものです。


そしてその頃頻繁に出入りするようになったオーディオ店で、P610をとにかく試してみればと何度も教えられたものの、FMレコパルで洗脳された私の頭の中には、紙の振動板でしかも口径だって16センチ、テレビの付属品のスピーカーみたいな陳腐で貧弱な外見は、どう見たって偉そうになんか見えません。


当時の私にとっての憧れは、新素材見本市の30センチクラス3ウエイが最も凄いものだと信じていましたから、当時あった38センチクラスのハイエンド機器でさえ、値段ばかり高いだけの、ただの見栄っ張りの道具でしかないと信じていました。


そんな中でしたがたどり着いたのがTRIOのLS1000です。

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中古品で手に入れましたけど、もう最高だろう!!と思って聴いていたのですが・・・・


何かが違う?


どこかがおかしい・・・


いや、気のせいだ!と自分に言い聞かせるものの、結果的に私の求める世界とは、事実はまるで違っていたのです。


そんな中で次に手に入れたのが、泣く子も黙る世界的超有名ブランドJBLです。


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D130と075の2ウエイというシンプルな構成でしたが、今までと違う38cmクラスの大口径ユニット。


しかもバックロードホーンという、一般的ではないエンクロージャー形式。


もうFMレコパルの洗脳なんて一発で解けていました。


そして世界最高のJBLサウンドを目指すのだという意気込みで、ネットワークをあれこれいじくりまわしたりしていたものです。


もう気分的には上級者で、市販の3ウエイシステムなんてヘッポコだなんて思うようになっていました。


ところでそのJBLサウンドでしたが、かなり個性が強い音とはいえ、とても魅力のある音がしていました。


トリオのLS1000のドロォ~ンとした低域とは異なり、バンバン!ガンガン!とバックロードらしい切れ味の良い低域を響かせますし、075のどことなく突き刺さるような高音域は、レンジ感こそありませんが、リアル感を伴う高音域を聞かせてくれました。


もうこのままJBLマニアになろう。


そう思い込むほど入れ込んでいたのも事実です。



しかしそこに悪魔のささやきが忍び寄ってきました。



そんな自慢のJBLサウンドを楽しんでいるとき、たまたま訪れてきた後輩が、近所のリサイクルショップにP610の中古が置いてありましたよの一言を聞いてしまったのです。


別に本気で使う気もなかったのですが、とりあえずオーディオマニアの端くれだから、とりあえずそのP610手に入れたのです。



当時のP610は後期型にモデルが変更されていて、対入力の向上や周波数帯域の拡大など、前期型から大幅なモデルチェンジを受けていました。



しかし私が手に入れてしまったのはどうやら古い前期型のようで、それを知ったときは少し残念に思えたものの、結果からすれば、それが今の私を形成する大きな転機だったのは間違いのない事のようです。



とりあえずP610のサウンドとはどのようなものか、聴いて見なければ始まりません。


部屋の中には発砲スチロールの板の端切れがあり、そこに穴を開けてP610をセット。


そして段ボール箱にガムテープで貼り付けて、簡易エンクロージャーで鳴らしてみたのです。




・・・ばかな・・・そんなはずはない・・・



そのとき試聴のためにかけたジャンルは、古い録音のジャズでした。


JBLならジャズがという事を聴いて、その頃ジャズのアルバムを良く聴いていましたから、それでJBLのD130と比較試聴していたのです。



しかし、あれだけ気に入っていたJBLのサウンドが、見るも無残なダンボールに入れられたボロのP610前期型の音の質感に、まるで歯が立たないのを知った時、P610の実力の本当の意味を体験したのです。


その後本格的に鳴らそうと平面バッフルを製作しましたが、それがJBLの脇に立てかけてあるのが画像から確認できると思います。



さてそのようなわけでP610にはまり込んでいく訳ですが、長くなってしまいましたので今回はここまで。


次回からP610の魅力についてお話をしたいと思います。


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2013/02/04
12:19
P610が復刻?

みなさんこんにちは。


サムライジャパンでございます。


急用の為しばらくブログの更新をサボってしまいました。


さて今回は、前回に引き続き気になるユニットのご紹介をしたいと思います。


タイトルにあるように、そうです。P610が復刻されたお話なのです。


といっても、ダイヤトーンのP610が復刻生産された話ではありません。


P610といえば、ベテランのマニアの方なら知らない人がいないほど有名な、フルレンジの傑作ユニットのひとつです。

その見た目の貧弱さとは裏腹に、質感の非常に高い音を聞かせてくれる、とても優れたユニットです。

大迫力の音も出なければ、ワイドレンジに聞かせる事も出来ません。

しかしそのバランスのよさ、アンプやソースの良し悪しをストレートに表現してしまう素性のよさ、そんな優れた面を持つユニットだけに、今でも中古市場では人気のユニットです。


その人気は日本国内だけには留まらなかったようです。


実は、アメリカのとあるショップが、このP610を復刻生産しているのです。


以前何度かご紹介したALTECのユニットを復刻生産をしているGreat Plains Audio社のように、
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生産設備などをすべて引き受けたところではありません。

つまりダイヤトーンとは関係のないメーカーになります。


しかしそこではP610に対し相当な想い入れがあるらしく、再生産される可能性がないのならという事で、再生音も含め出来るだけ忠実に、P610を復活させようとしたようなのです。

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見てのとおり外観はp610そっくりというよりほぼ同じです。

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エッジは10年から15年でぼろぼろになってしまうスポンジやウレタンではなく、皮製のロールエッジで作られています。


その点では耐久性は高そうですね。


ただ振動版も違うわけですので、はたしてどのような音がするのか興味のあるところです。

スペック的には後期型をモデルにしているようです。


Designation P-610VA

Production 2011

Diameter 16cm

Resonance frequency between 65Hz and 75Hz
Nominal power capacity 7W
Max permissible 20W
Sensitivity 90 dB/m/W
Magnet Alnico
Magnetic flux density in the gap 12000 Gauss
Impedance P610VA 8 ohms

Magnet diameter 30 mm
Magnet height 25 mm
Magnet weight 0.92 Kg

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P610はとても好きなユニットですので、生産されなくなって寂しく思ったものです。


このユニットを企画したところもそれは同じだったようで、どうにかP610を現代でも入手出来るようにしたいという情熱が生み出したユニットのようです。


今コンディションの良いP610を見かけるのは非常に稀になり、その多くがエッジがやられているものがほとんどです。


もちろんエッジの張替えなどを行えば使えるのですが、中には振動版がヨレヨレになってしまったものもあります。


そのような意味では、このような復刻版ユニットもひとつの選択肢にもなるのです。


ただダイヤトーンブランドでもなければ、直接関係するメーカーというわけではなく、熱狂的なP610の支持者の技術者達が作り上げたものですので、別物といえば別物です。


でもこのような意図で作られたユニットですので、このユニットなりの魅力がありそうな気がしますね。

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さてこのユニットの実力はいかに?

P610の二番煎じでへっぽこなのか、それともP610の良さを引き継いで、さらに素晴らしくなっているのか?


現在このユニットを取り扱うかどうか検討中ですが、反響が多いようなら取り扱いを始めようと思います。


その前に自分用に試してみたいのですけどね。


そして段ボールスペシャルで鳴らす・・・


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